ep:12
ガイとゴウ。
行商旅団サイド。
「…ガイ兄!聞こえる!?」
「グェンか!聞こえてるぞ!」
「そっちに三人、行ったよ!」
「よっしゃ!任せろ!軽く一捻りして情報を吐き出してもらうさ!」
「ゴウ?聞こえるかしら?そっちに三人来てる!でも、無茶はしないでね!?」
「あい!ありがと!グェン姉ちゃん!」
(港街に着くまでに仕掛けてくるか?なら…。)
「ゴウ!先頭を俺と代わってくれ!」
「あい!ガイあんちゃん!」
「お客さんは俺が引き受ける!この街道を真っすぐ行けば港街に着く!その間キャラバンの連中を頼む!」
「ガイあんちゃん!がんばれ!」
「あぁ!任せろ!」
馬上で剣を抜き柄に唾を吐きかけ構えるガイに三人の帝国軍が襲いかかる。
リザードマン村。
ダミエルの居住地、フレイマンサイド。
「ギン、敵の数は?」
「8人だ。8人が真っすぐこちらに向かって来ている。」
「奴さんも夜目が効くのだな、好都合。灯りを消して正解だったな。エレン嬢に合図を。」
ダミエルの居住地外。
エレンは物陰に身を潜め合図を待つ。
スッと瞼を閉じ精神を集中させる。
馬の蹄の音が徐々に近づいてくる。
「エレン嬢!今だ!」
合図だ。
一斉に屋根へ駆け登り、死角からの強襲を仕掛ける。
フォルクの視線で影が月明かりを遮る、何か通ったか?と思った刹那。
帝国軍兵士がなぎ倒されていた。
(何が起きた?)
フォルクが考えを巡らせる途中背後からの声で集中力が乱される。
「動くな。」
鋭い刃がフォルクの喉を突き立てる。
フォルクは両手を挙げ、その言葉に従う。
「お初にお目にかかるな。帝国軍准将さん。」
「…その声は行商旅団、頭取フレイマンだな?これは、どういう事かな?場合によっては…。」
「それはこちらのセリフだと思うが?何故、」
大きな光源がフレイマン達の影を大きく映す。
ドォン!と大きな衝撃音が轟く。
(好機!)
フォルクは素早く形勢を立て直す動きを見せるが、ギンが見逃さず関節技をフォルクに仕掛けエレンの槍がフォルクの喉に届く。
「…くっ。…なるほど、貴様等にとってこれは想定済みの事か…。」
そこで、始めてフレイマン達とフォルクが対面した。
フォルクが北斎だと思ってた人物はいつの間にか女性へと代わり、そこでフォルクは気付く。
「ふ…やはり、あれは陽動だったか…。」
「こちら、グェン。敵の将を捕獲したわ。ガイ兄、そっちはどう?」
グェンが念話を流すと直ぐに返事が帰って来る。
「こちら、ガイ!こちらも片がついた!」
ガイの眼前に三人の男が身ぐるみを剥がされ縄で縛り上げられている。
「流石ガイ兄!」
「いや…奴さん格好ばかりで実力は全然だ。なんだか拍子抜けだぜ。」
「自慢話は後で聞くわ。ゲルドそちらはどう?」
「つれねぇな…。」
寂しく呟くガイに一人の帝国兵士が啖呵を切る。
「こんな事して、あの方が黙っていないぞ!?」
「へぇ〜…。」
兵士の前に剣を振りかざし答える。
「あの方が誰の事なのか、じっくり教えてもらおうか?ん?」
剣の峰の部分でペシペシと兵士の頬を叩き笑みを浮かべるガイにすっかり意気消沈の帝国兵士三人組。
一方。
リザードマン村東側の森。
北斎サイド。
フォルク襲撃数分前。
「……奴め、日が落ちてからより圧が強くなったな。」
「……こっちに近づいて来てる…。」
ガサ。
森の奥深くで地を踏み鳴らす大きな脚。
眼光が怪しく光り、一人の餌を捕捉している。




