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2話 先生は理由を聞いた。

職員室はゆったりとした空気が流れていた。

1学期の期末考査も終わり、ほとんどの教員は採点も終えて大まかではあるが各個人の成績もつけ終えていた。

「田尾先生、今回の数学どうでした?」

「少し難しくしすぎたかな?と思っていたんですけど、思っていたよりも平均点が高くてびっくりしてますよ。岡先生はどうでしたか?」

私が聞くと岡先生は少し暗い顔をした。

「古文のテストは平均点はよかったんですけど……」

「けど?」

私が聞くと岡先生はとても悲しそうな顔をした。

「私が授業中にここテストに出すからと言ったところの正答率が50%以下だったんですよ。」

「それは…なんとも言えませんね。」

「はい。」

いつものように話していた。きっと今日も何事もなく終わると思っていた。

なのに、職員室のドアが壊れるのでは?と思うほどの勢いでバン!という大きな音を立てて開いた。

すぐに井上先生が怒鳴ったが、私はそんなことよりもさらに気になることがあった。それは赤松君が肩に担いでいる布のすき間から人の腕や足が見えてるのだ。

その様子に私は体の芯から寒気がした。

何かがおかしい。

何か異様な感じかする。

私は慌てて彼らに近づくと、赤松君はこちらをちらっと見た。そして、私に肩に担いでいるものを渡そうとして、変な顔をしながらやめた。私が椅子に座ってもう一度赤松君のことを見ると、赤松君は私の膝の上に肩に抱えていたものを置いた。私が膝に置かれたものに視線を落とすとそこには山本陽菜さんがいた。彼女からはまったく生気を感じられなかった。その後、赤松君たちは職員室から出ていった。

「ねえ、なんであの子たちに連れてこられたのか理由を聞いてもいい?」

私は膝の上で放心している山本さんに問いかけた。

「なんで……なんででしょうか?」

暫くすると彼女は悲壮感を漂わせながらそう聞き返して来た。

「私に聞かないで、聞いているのは私なんだから。」

私はまるで友達同士で軽口を言い合っているような明るい声で聞き返した。もしここで私まで暗い感じで聞いてしまうといけないと思える何かがあったからだ。だけど、彼女は全く答えてくれなかった。

私が彼女のことを見つめながら返事を待っていると長尾先生がキャスター付きの椅子を転がしながら「田尾先生、とりあえず降ろしませんか?」と尋ねてきた。私は首を横に振って降ろさないと伝えた。

「分かりました。」

長尾先生はそういうと再びキャスター付きの椅子を転がしながら戻っていった。

職員室から音が消え、その場にいる全員が彼女の返答を待っていた。だけど、彼女から漂う悲壮感は次第に増していった。さらに心ここにあらずと言った状態でこちらのことが見えているのか?こちらの声は聞こえているのか?と心配になって来た。

「ちょっと、大丈夫?」

遂に私は彼女の肩を叩きながら問いかけた。だけど、彼女からの返事はなかった。

「ちょっと、おーい。聞こえてる?反応して!」

私は彼女の目の前で手を振りながら声をかけ続けた。

しばらくすると彼女の口から非常に小さな声だったけどそれは職員室にいた全員を固まらせるだけの効果を持った言葉が発せられた。

どうやら彼女は私が思っていたよりも厄介な状態のようだ。

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