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1話 彼女は死のうとした。

「死にたい。」

私は高校の北棟5階の窓枠に足をかけながらつぶやいた。よく小説とかでは飛び降り自殺をするなら屋上から飛び降りるけど、最近は屋上は危険だからと立ち入り禁止になっていて入れない。なので、高校の一番高い場所で、人通りも少ないここから飛び降りることにした。

私は目をつぶって覚悟を決めて飛び降りた。

目を開けるとまるで新幹線の車窓からの景色のようにすごいスピードで景色が上へと流れていく。ゴーゴーとすごい風の音がする。よく死ぬ直前は走馬灯が見えるというが私には何も見えなかった。ただ、これで終わるんだ……と感傷に浸っていた。

「おい!なんだ!」

「どうする!」

私はそんな声で目を開けた。結局途中で目を開けてられなくなって目を閉じていたみたいだ。

「なんで?」

私は気が付くとそう呟いていた。

視界の先に、1人の男の子がいた。

焦燥も驚きもない、ただ冷静な声。

「おい、どうした?」

1人の男の子が近寄って来て声をかけてきた。

「どうして、どうして死なせてくれなかったの!」

私は気が付くとその男の子の襟元を掴んで怒鳴っていた。

「知るか。」

男の子はぶっきらぼうに短くそう呟いた。

「おい、あっちゃん。知ってるか?」

男の子は私を指さしながら近くに立っている男の子に聞いていた。

「知ってます。うちのクラスの女子です。名前は、確か山本だったと思います。」

「そうか。」

「赤松先輩、その子バレー部の子です。」

「そうか、なぜ死のうとしているのか原因に心当たりは?」

「ないです。そもそも僕たち科学部の人間がクラスメイトと交流があると思いますか?」

「そうだな。」

男の子は苦笑しながらそう呟くと私のことを軽々と持ち上げるとそのまま肩に担がれた。ちょうど胸の少し下らへんを圧迫されて少し苦しい。ついでにスカートがめくれないようにという配慮からだと思うがスカートの裾を手で押さえられた。スカートがひざ下まであるのでおしりを触られてはいないけど、時々見る短いスカートだったら少し恥ずかしかったのかな……なんて思っていたら彼は周囲にいた男の子たちに「行くぞ!」と言って動き始めた。

「ちょっと、先輩待って。流石に19時は過ぎていますけど、まだ校内には人いますから。流石に騒ぎになりますよ。」

あっちゃんと呼ばれた男の子がそう言いながら。肩に担がれている私の上から大きな布をかぶせた。

「ん!」

私を担いでいる男の子の声が聞こえたかと思うとふたたび歩き始めた。大きな布に視界を遮られてほとんど何も見えないしどこを目指しているのか分からないけど、校舎の中に入ったことだけは分かる。どこを目指しているのだろう?私がそう思っているとどこかの部屋の前で立ち止まった。


バン!


大きな音とともに扉が開いた。

「おい、赤松!職員室の扉は静かに開けなさい!」

すぐに男の先生の怒鳴り声が聞こえてきた。

「すいません。誰でもいいのでこれを引き取ってください。

後、バレーボール部の顧問の山田先生と1年8組の東田先生いますか?」

赤松と呼ばれた人は大きな声で言った。

「それはなんだ!

誰でもいいとはどういうことだ!」

すぐに男の先生の怒鳴り声が聞こえてきた。するとすぐに赤松さんは言い返した。

「預かってください。説明は山田先生と東田先生にします。」

「赤松、落ち着け。井上先生も少し落ち着いてください。それは僕が引き取るからこちらに渡してくれるか?」

「いやです。」

赤松さんは短くはっきりと言った。

「なんで!」

「松浦先生が男性だから。」

「おい!それなら誰でもというな!」

松浦先生の呆れた声が聞こえた。そしてそのすぐ後に私の視界がいきなり明るくなった。慌てて周囲の様子を確認するとどうやら私は田尾先生にお姫様抱っこの要領で抱えられているようだ。

「おい、赤松これはどういうことだ?」

「見ての通りです。」

赤松さんはそう言うと山田先生と東田先生、松浦先生と一緒に職員室から出て行った。

私は田尾先生の目を見て固まっていた。

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