16話 彼女はトイレ休憩で迷子になる。
バスに揺られること1時間半。私たちはトイレ休憩のためにサービスエリアに到着した。
「それじゃあ、15分後に出るのでそれまでにトイレに行く人は行ってきていいよ。」
松浦先生の言葉にみんな無言で頷くとふらふらとバスから降りていった。
私もみんなの後を追って出たんだけど、すでに男子4人の姿はなかった。
「あれ?」
私は小さく呟きながらもトイレは建物がある方に行けばあるだろうとも思い、ふらふらと建物の方へと向かった。
建物に着いてから、まず建物の入り口を探して歩き、次に建物に入ってからはトイレを探して歩き回った。やっとの思いでトイレを見つけて済ませてからはどっちから来たのか分からなくなり、左右を見て左に進んでいった。
その結果、現在地不明の迷子である。
うん。もうどうしょうもないよね。
しかも、スマホはバスのカバンの中に置いてきてしまった。
ひとまず、車がいっぱい停まっている方に歩いていけば、きっと見つかるだろうと思って歩き出したのは間違えだったようだ。だって、似たような車が多すぎて全く場所の見当がつかないんだもん。
「どうしよう?」
壁にかけられている時計をみるともうとっくに集合時間は過ぎている。
仕方がないので、一度さっきいたトイレに戻ろうと思い再び建物に入ったけど、案内板を見てびっくりした。だって、このサービスエリア同じ階で建物の端と端の2カ所にトイレがある見たいだ。これではどちらのトイレが私がさっきいたトイレかすら分からない。
どうしようかと真剣に悩んでいると人をかき分けるようにやまちゃん先輩がやってきた。
「おい。大丈夫か?」
「あ、はい。」
私が頷くとやまちゃん先輩は困った顔をした。
「お手洗いは行けたか?」
「はい。」
やまちゃん先輩の言葉に私は小さく頷いた。それを見たやまちゃん先輩は頷くとスマホを操作してから私の手を掴んで歩き始めた。
「とりあえず、顔洗ってこい。」
やまちゃん先輩にひかれて連れてこられたのはトイレの前だった。
私はやまちゃん先輩の言葉の意味は分からなかったけど、とりあえず頷いてトイレに入った。
そして、鏡を見て今にも泣き出しそうな顔がうつったのを見て私はびっくりした。
ひとまず、顔を洗ってから戻るとやまちゃん先輩は優しい顔で頷いてから私の前をゆっくりと歩き始めた。
私もやまちゃん先輩について行った。するとあっという間にマイクロバスに戻ってこれた。
「よし、全員そろったから出発しようか。」
さすがに松浦先生に何か言われると思っていたのに先生は特に何か言うわけでもなくマイクロバスを出した。
私はマイクロバスにつけられている時計を見て、集合時間を30分以上過ぎているのに気がつき少しだけ申し訳ない気持ちになった。だけど、誰一人として気にした様子はなかった。




