10話 彼女は科学部に行く。
私が、クラスに入ったのはちょうど2限目が始まる頃だった。
クラスは私が知っている頃よりも人が少なくなり、静かに感じられた。
私がクラスに入ると一瞬みんなの視線がこちらに向いた。そして、クラスから音が消えた。
ああ、やっぱり私はここにはもう居場所がないんだ…そう思った瞬間足元が崩れる感覚に陥った。
そんな中、松村くんが近寄ってきた。
「山本さん、教室の放課後部活あるから一緒に来て。
部長が絶対に連れてくるようにってめちゃくちゃ僕に念押ししてきていて、連れて行かないと今度はあの人が突撃してきちゃうから。」
松村くんはクラスの全員に聞こえるような大きな声で、ゆっくりと言った。
その瞬間、クラスの中から息をのむ音が聞こえた。
「分かった。」
私が返事をすると松村くんは満足そうに頷いて、席へと戻っていった。
――
いじめられていた時はとても長くて苦痛に感じていた授業や休み時間がとても早く終わるように感じた。そして、ホームルームを終えて、私は松村くんに連れられる形で科学部の部室である温室ではなく、理科室に来ていた。
「先輩、連れてきましたよ。」
松村くんがそう言いながら理科室に入ると、中からとても体格のいい男の人が出てきた。
「おう。」
私がびっくりして、固まっていると松村くんが私と男の人の間に入った。
「やまちゃん先輩、怖がらせないでください。」
松村くんがそう言うと、やまちゃん先輩と呼ばれた人は、頭をポリポリとかきながら困った顔をした。
「怖がらせてはいないぞ。」
「先輩は、見た目がゴツいのでそこにいるだけで怖いんですよ。」
「あっちゃん。それはひどいよ。」
「もう!」
松村くんは先輩と言いながらベシベシと叩き、男の人はちょっと膨れた顔をしたが、楽しそうに中へと入っていった。
私はとりあえず、入ったら良いのだろうと思い後ろをついて中へと入った。
「ところで、やまちゃん先輩。先輩はどうしたんですか?」
松村くんがキョロキョロと理科室の中を見渡すようにしながら聞いた。
「ああ、あいつなら部室棟の方にいるよ。」
「そうですか。」
松村くんは静かに答えると、かばんから資料を出してきて読み始めた。
「えっと」
私が入り口で固まっていると後ろから赤松さんがやって来た。
「どうした?
どこでもいいから座れば。」
赤松さんはそれだけいうと中へと入っていった。私は赤松さんについて一緒に中に入った。
みんなそれぞれ思い思いに好きなことをしていて、私はどうしていいのか分からなかった。
しばらくすると植松くんがやって来た。
「先輩。お疲れ様です。」
植松くんが赤松さんに言うと赤松さんは頷いて立ち上がった。




