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夏祭りの胸騒ぎ(9)

SFカテゴリーで『光と陰-織りなす夢に形』に、双子の美人をヒロインにして毎日投稿しています。

純文学のエッセイでも思ったことを随時投稿していますが、短編集も書いてみることにしました。

反応が強かった短編を長編にしていこうかなと思っています。これもまた宜しくお願い致します!


エッセイもやっています!

澪が、

「営業部の連中がよく私らを誘ってくるの。だから適当に付き合ってご馳走になって、

それでもしつこいから、他にもお誘いがあって忙しいの!って言ってあげたの。」

『なるほど、だから営業でそういう噂が立っていたのか。それは澪さんだったんだな』と納得した。


「じゃーあのJAFICの会合でお偉方を帰りに捌いていたのも澪さんだね。手際良かったよ。」

「それで、次は萌さんの登場だったんだね!で、僕はあっさり騙された。」と言って笑った。


そんな話をしていたら、澪がメイド姿でワゴンを押して現れた。

「出来上がりました。ご主人様。」

「あ、石塚さん、実は澪はメイド志望なんです。殿方に対してサービス精神旺盛なんですよ。

かわいいでしょ?」

「そのメイド服はいつも着ているの?」と萌に聞いた。

「いえ、今日はご主人様がいらっしゃるとお聞きしましたので着替えてお待ちしておりました。」

そして、澪が割って入ってきて、

「ねえ、食べ終わったら、私達いつもの会社のスーツに着替えるから舞当てクイズやらない?」

すると3人ともいいねいいねと盛り上がっている。


僕らはダイニングテーブルに座り、萌がグリーンサラダとトマトパスタそしてメインの子牛のカツレツをサーブしてくれた。そして、澪がワインを持ってきてゾーリンゲンのワインオープナーで手際よくコルクを抜いた。

「へえー 澪さんは手際いいね!」と言うと、

「私ソムリエですから!」と帰ってきた。

「そうなんです。私と入れ替わらない日はソムリエかバーテンダーをしてるんですよ。」と舞が言った。

「で、萌が家事全般って感じなの。」と澪が付け足すと、

「私本当はどこかでメイドをやりたいのですが、お父様が許してくださらないのです。」と萌が言った。


和気藹々と僕らは食べ始めており、4人がけのダイニングテーブルの正面に舞が、そして右隣に澪が

左隣に萌が座っている。服装は違うといえ3人とも全く同じ顔とヘアスタイルで話しており、本当に不思議な空間にいるようであった。まるでアンドロイドやサイボーグのようにも感じた。


「萌さん、このイタリアン本当に美味しいよ!僕は味覚には自信があるんだけどイタリアで食べたものより美味しいかな。」と言うと、

「ありがとうございます。ご主人様。テーブルをご一緒してしまい申し訳ございません。」とまさにメイドになりきった返事が返ってきた。

「石塚さん、私らのことは呼び捨てでいいですよ。舞・澪・萌で。」

「わかった。ありがとう。そうしてみるよ。」


3人とも95%は同じであるのだが、パーソナリティーのせいなのか若干の違いがわかるようになってきた。

主に表情と仕草の違いによるものだと思う。舞が正統派のお嬢様、澪がちょっとギャルが入ったセクシー系、萌が名前の通り萌系のコスプレ少女って感じなんだと思う。


なんか不思議と初めて会ったような感覚はなく、一人っ子の僕にとっては、同じ顔をした3姉妹と一緒にいる空間が楽しく感じるようになってきていた。

「君たち、本当に楽しい子達だね!一家に1台いや3台って感じだよ。」

取り止めもない会話が続き、誰がなにを好きだとかという話の中に、どうやって3人が会社で情報を共有しているのか?という秘訣まで聞くことができた。


ほぼ食べ終わった頃に、萌が席を立ちエスプレッソを用意しに行った。

そして、同時にあたかも打ち合わせをしたかのように他の2人も立って2階に消えていったのだった。

なるほど、リビング・ダイニングは30畳ぐらいである、その上が吹き抜けの天井になっており、

階段上には3人の部屋がそれぞれあるようだ。


そして、10分近く経っただろうか?

2階に消えていった2人が戻ってきた。

するとネイビーのスーツをきた同じ2人になっていた。

その後またネイビーのスーツを着たもう1人がエスプレッソを持って来てテーブルにサーブした。

そして3人は入れ替わり立ち替わりと動き順序がわからなくなっていった・・・


「さあ、ここからがメインイベントです! では、舞はどの子でしょうか?」と誰かが言った。

『うーん、これは難しい・・・直立不動なので全く区別がつかないな〜」

「ねえ、この状態だと全くわからないから、私、舞と申します と言ってもらってもいいかな?」

すると3人はうなずき、同時に言ったのだった。


『うー それでもわからん・・・』

僕も立って彼女たちの近くに寄っていった。

メイクもしてきたようで、顔の区別も全くつかない状況だ。

体つきもスーツをきているので全く同じに見える。


『うーん・・・』

僕は彼女たちの瞳を比べるために顔を覗き込んで瞳を凝視することにしてみた。

右から1人づつ実行してみると、

最初の子は怯んだ、真ん中は強い眼差しである。最後はやんわりとした眼差し・・・

「わかったよ!間違いないな。言ってもいいかな?」

3人ともうなづいた。

「右端の子が舞だね!」


いきなり拍手が起こった。

「さっすが石塚さん、私達をよく見てますね〜 素晴らしい!」と澪が言った。


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