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狼の耳の番  作者: himi
27/34

27 やさしい抱擁



あみが目を開けると、薄暗い部屋の天井が目に入った

冷たい石の床の感触が背中に伝わり

彼女はゆっくりと体を起こした


頭がぼんやりとしていて、周囲を見渡すと鉄格子の扉が目に入る

ここが牢屋であることを理解するのに時間はかからなかった



「ここは……どこ?」

小さな声で呟いたその時、部屋の隅からかすかなすすり泣きが聞こえた

あみは驚きながら音のする方に目を向けた


そこには、小さな獣人の少女が膝を抱えて座り込んでいた。


「……大丈夫?」


あみが優しく声をかけると、少女は顔を上げた

その瞳には涙が溢れており、不安と寂しさが滲んでいた



「……誰?」

少女が震える声で尋ねる

あみはゆっくりと彼女に近づき、できるだけ穏やかな声で答えた



「私はあみ。あなたは?」



「エリナ……」



少女は小さな声で名乗り、再び膝に顔を埋めた。その姿に、あみの胸が締め付けられるような感覚が広がった。




あみはそっとエリナの隣に座り

彼女の肩に手を置いた



「怖かったよね。でも、大丈夫。私がいるから」



その言葉に、エリナは顔を上げ、あみの目を見つめた


その瞳にはまだ不安が残っていたが

どこか安心感も感じられるようだった



「……本当に?」


エリナが小さな声で尋ねると、あみは優しく微笑みながら彼女を抱きしめた



「本当だよ。私は絶対にあなたを守る」



その瞬間、エリナの目から大粒の涙がこぼれ落ちた

彼女はあみの胸に顔を埋め、声を上げて泣き始めた


その泣き声には、これまで押し込めていた恐怖や寂しさがすべて詰まっているようだった



あみはエリナの背中をそっと撫でながら

彼女が落ち着くのを待った

その間、あみの心の中には強い決意が芽生えていた

――この少女を、そして自分自身を、必ずこの場所から救い出すという決意が





エリナが少し落ち着いた後、あみは優しい声で尋ねた


「エリナちゃん、お父さんのこと、教えてくれる?」


エリナは少し間を置いてから答えた


「お父さんは……優しい人だよ。いつも私のことを守ってくれるの。でも、最近は忙しくて、あんまり一緒にいられなかった」



その言葉に、あみは胸が締め付けられるような感覚を覚えた

エリクが娘を守るために必死だったことは理解できるが

彼がエリナの今の状況を知らないという事実を知ると

その心の内を想像せずにはいられなかった



「お父さんは病院に連れて行ってくれた後、どこかに行っちゃったの。市長さんに言われて……」



「お父さんは……私が元気になったことを知らないんだと思う」


エリナの言葉に、あみはさらに驚いた

彼女はひどい風邪を引いていたものの

今では普通に動けるまで回復しているという




「エリナちゃん、大丈夫。私が何とかするから」  



あみはエリナを優しく抱きしめながらそう言った。その言葉に、エリナは少しだけ安心したように微笑んだ




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