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狼の耳の番  作者: himi
24/34

24 自分にできること



廃工場の一角、ジアの声が仲間たちの集まる空間に響き渡っていた

机の上には広げられた地図と書類が並び

焚き火の明かりが彼の顔を照らしている


その鋭い瞳が一人一人の仲間を見据えながら

次の作戦の内容を説明していた



「政府の輸送ルートに隙がある。次の目標は、奴らの物資を奪うことだ」



ジアの言葉に、仲間たちは静かに頷き、目を凝らして地図を見つめる



あみは少し緊張しながら、隅でその話を聞いていた

ジアの説明する作戦の内容に

胸の奥で何かがざわめいているのを感じていた

自分にできることは何か――その問いが頭を離れなかった



「私は何ができるんだろう……」

あみは自分の手を見る

これまでただ保護されるだけだった自分が

どうすればみんなを守れるかを必死に考えていた




作戦会議が終わり、仲間たちが散らばる中、あみは意を決してジアに近づいた

彼のそばにはシノが立っており、地図を片付けている



「ジア」

あみが名前を呼ぶと、彼は振り返る

その瞳は冷たくも鋭く、どこか彼女を見透かしているようだった



「なんだ」短い返事が返ってくる



あみは少し息を吸い込み、勇気を振り絞って口を開いた



「……私、人間だから、囮になれると思う」



その言葉にジアの眉が動いた

隣のシノも一瞬手を止め、あみの方を見つめる



「囮だと?」

ジアの声は低く響き、その目は険しくなる



「人間の私なら、獣人とは違って敵に警戒されにくいと思うの。だから……その…隙を作れるかもしれない」



ジアは黙り込んだまま、彼女を見つめていた

その視線が冷たいわけではないが

何か重いものを含んでいるようだった



「却下だ」

彼は一言で断り、地図を片付けながら続けた

「危険すぎる。そんなことをさせるわけにはいかない」



しかし、あみは簡単に引き下がらなかった



「でも、私だって何かしたいの。ずっと守られるだけじゃなくて、私もみんなを守りたい!」



ジアが鋭い視線で彼女を見つめると

シノが間に入るように口を開いた



「まあまあ、ジア。聞いてやれよ。少し話をしてみてもいいじゃないか」




その言葉に、ジアは小さく息を吐き

しばらく沈黙した後に答えた



「……話を聞くだけだ。だが、勝手に決めるな」





その後、シノがじっくりとあみの提案について話し合いを進めた

彼女の意志の強さを見て、ジアも少しだけ考えを変えるようになった


そして最終的に彼女の囮作戦を練り直し

安全を確保する形で加えることになった




「あみ、お前が責任を取る形になる。これ以上無理を言うなら、俺はこの作戦を中止する」




ジアの冷静な声に、あみはしっかりと頷いた



「分かった。全力でやるから」



シノが横でニヤリと笑いながら肩をすくめた



「いい覚悟だ。ジア、そこまで怒るなよ」



こうして、あみは初めて作戦に加わることになった

彼女がその場を離れると、ジアは地図を見ながら低く呟いた


「……無茶をするなよ」




その言葉には、彼女への懸念と守りたいという強い気持ちが込められていた


彼自身はまだ、その感情の正体を理解できずにいたが



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