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狼の耳の番  作者: himi
23/34

23 疑惑と戦略



廃工場の一室にて、ジアは古びた机の前に立っていた

地図や書類が広げられた机の上を指先で軽く叩きながら、思考を巡らせている

その眉間には深い皺が刻まれていた 



「ジア、ここにいたか」



シノが部屋に入ってくると、ジアは僅かに顔を上げた

その眼差しは険しく鋭い



「どうだった?」



ジアの低い声に、シノは頷きながら机の端に腰を下ろした 



「少し掘り下げてみたが……状況は複雑だな」  




ジアは腕を組み、シノを見据える


「具体的に…」


シノは懐から一枚の紙を取り出して広げた

それはアジト周辺の地図と、レジスタンスの活動に関する情報が記されていた


「政府側が俺たちのアジトを正確に突き止められた理由だが、やはり内部からの情報漏洩があったと見て間違いない」


「……裏切り者か」



ジアは小さく息を吐き、視線を机に戻した

その言葉には怒りよりも深い失望が込められているようだった



「今のところ確定的な証拠は掴めていないが、怪しい動きをしている者が何人かいる。あの襲撃のタイミングを考えると……どうも偶然とは思えない」



「……」

ジアは沈黙したまま、鋭い目で地図を見つめている

その瞳には焦りが見え隠れしているものの

その感情を外に出すことはなかった



シノは続けた

「この中に、誰かが家族や身内のために情報を売った可能性もある。政府はその手を使うのが得意だからな」



「家族か……」

ジアはその言葉に反応したように、軽く唇を噛んだ

彼自身もかつて身内を失った経験があり、その痛みを知っている


「ただし、慎重に進める必要がある。下手に疑いをかければ、今のギスギスした空気がさらに悪化する」


シノはジアの表情を見ながらそう付け加えた


ジアは短く頷いた


「分かっている。だが、裏切り者を見逃せば、次は全滅だ」



その時、部屋の扉が軽くノックされた

ジアが「入れ」と短く指示すると、若い仲間が書類を抱えて入ってきた



「次の作戦のための情報が届きました」



ジアはその書類を受け取り、中身に目を通した


内容は政府施設の警備状況や、物資の輸送スケジュールに関するものだ


それを見たジアの表情が少しだけ引き締まる



「これは使えるな」


彼は低い声で呟き、シノにその書類を手渡した


「次の作戦の準備に入る。今回は、奴らにこちらの力を見せつける必要がある」



シノは書類を受け取り、にやりと笑った



「了解だ。で、どう動く?」




ジアは地図を指しながら計画の概要を説明し始めた

その声には迷いがなく、彼の中で次の戦いへの覚悟が固まりつつあるのが感じられた



「俺たちは、一歩も引かない」



ジアのその言葉が、廃工場の薄暗い空間に響き渡った――



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