14 心の距離
あみはキッチンで洗い物をしながらふと顔を上げると
リアンとマイクが笑いながら話しているのが目に入った
リアンの金色の目が輝き、マイクの尻尾が軽く揺れている
それは彼女にとってどこかほっとする光景だった
「ほら、あみ、手を止めちゃダメだぞ!」
マイクが冗談交じりに声をかける
あみは照れ臭そうに笑いながら、「分かってる!」と返事をした
その表情には、少し前まで見られなかった柔らかい笑顔が浮かんでいた
この頃になると
キッチンには自然と他の仲間たちも出入りするようになり
あみが仲間に溶け込んでいく様子が目立ち始めていた
洗い物をしているあみのそばに立って
軽口を叩く者もいれば
食材を持ちながら「今日の手伝いは任せたよ」と冗談めかす者もいる
リアンは笑顔で
「もう、あみばっかり頼らないでよ!」
と仲間たちをからかいながら
あみの隣で軽く話を弾ませていた
あみはそんな和やかな空気に包まれながら
心からの笑みを浮かべていた
ジア視点
廊下の先から、軽やかな笑い声が聞こえる
その声に、ジアは知らず知らずのうちに足を止めた
扉の向こうに目を向けると
あみが他の仲間たちと楽しそうに話している様子が見えた
男たちが微笑みながら彼女と話し
あみも柔らかな笑顔で応じている
その光景を目にした瞬間
ジアの胸の奥に奇妙な感情が湧き上がった
それは怒りとも違う
だが居心地の悪さを感じさせる感情だった
「……なんなんだ」
小さく呟き、視線をそらそうとするが
ふとした瞬間に再び目を奪われてしまう
彼女の笑顔は、彼の中でどうしても目を離せないものだった
そして、男たちと共にいるあみの姿が
心の中で何かを掻き乱す
初めての感情だった
それが「嫉妬」だとはまだ気づけない
ただ、その感情の正体も分からぬまま
彼は廊下を進み、勢いよく扉を開けた
その場にいた全員が一瞬で静まり返る中
ジアは真っ直ぐにあみの腕を掴む
「来い」
低く短い言葉と共に、彼女を引き連れ部屋を後にする
部屋に着くと、ジアはあみを手放し
何も言わずにその場に立ち尽くした
心の中で何かがざわめいているのに
その理由が分からない
目の前に立つあみの顔を見るたびに
その感情がますます自分を掻き乱していく
「ジア……?」
あみが不安げに呼びかける声も
彼には届かないようだった
ただ、握った腕の感触だけが
彼の胸に小さな安心感を与えていた




