13 語られる真実
キッチンでの洗い物を任されるようになったあみは
少しずつ仲間たちとの距離を縮めていった
皿を洗いながら聞こえる談笑の声に
最初は気後れしていたものの
リアンやマイクの優しげな態度が彼女を包み込んでくれた
「ねえ、あみって……やっぱり変わってるよね」
リアンがテーブルに腰を掛け、尻尾をゆらりと揺らしながら微笑んだ
その金色の瞳がまっすぐに彼女を見つめている
「変わってる?」
あみが問い返すと、リアンは軽くくすっと笑った
「だって、人間なのにこうして私たち獣人と普通に話してるし。普通なら、こんな場所には近づきもしないんだよ」
その言葉にマイクが鼻を鳴らし、少し真面目な表情を浮かべた
「まあ、確かに人間は俺たちのことを嫌うことが多いからな。お前みたいなのは珍しいよ」
その瞬間、あみは手を止めて二人を見た
「どうして、そんなに嫌われるの?」
リアンとマイクは視線を交わし
少し言葉を選ぶような間を置いた後
リアンが静かに口を開いた
「昔ね、私たち獣人は人間たちよりもずっと強くて、優れた能力を持っていたの。でも……その強さを人間たちは受け入れられなかったの」
「受け入れられなかった?」
あみが問い返すと、リアンは少し寂しげに頷いた
「人間たちはね、自分たちより強いものを恐れるの。私たちが彼らを守る立場になればいい、って思うけど……逆にその強さが脅威になったみたいで。それが差別の始まりだったの」
今度はマイクが低い声で続けた
「人間たちが俺たち獣人を嫌い始めた理由なんて、結局その“恐怖”なんだよな。どんなに平等だって表向きに言っても、裏では俺たちが危険な存在扱いされてる。仕事もない、病院にも行けない、それが現実だ」
リアンが尻尾を軽く振りながら苦笑した
「それで、私たち獣人はだんだん孤立していったの。今はもう、職もないし、まともに医療も受けられない。そういう状況を変えるために、ジアたちは立ち上がったのよ」
あみは目を見開き、二人の話に耳を傾け続けた
その一言一言が、彼らの持つ痛みをはっきりと伝えていた
「それじゃあ、レジスタンスはそのために……?」
リアンは深く頷いた
「そう。私たちはただ、生きたいだけなの。なのに、それすらも難しくなっちゃった」
あみは皿を手にしながら静かに考えていた
彼らがどれだけ厳しい状況に置かれ
どれほどの努力を重ねてきたのかを感じ取ることができた
そして、自分がこの世界で何をできるのかを模索し始めていた。
そんな彼女の姿を見て、リアンは微かに笑みを浮かべた
「あんた、ここに来た理由は分からないけど……それでも、何かできるって思ってるんでしょ?」
「うん……まだ何ができるかわからないけど」
あみの返事に、リアンとマイクは静かに頷き合った
その瞬間、あみは少しだけ
この場所に居てもいいと思える気持ちが芽生えた




