表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狼の耳の番  作者: himi
13/34

13 語られる真実



キッチンでの洗い物を任されるようになったあみは

少しずつ仲間たちとの距離を縮めていった


皿を洗いながら聞こえる談笑の声に

最初は気後れしていたものの

リアンやマイクの優しげな態度が彼女を包み込んでくれた



「ねえ、あみって……やっぱり変わってるよね」



リアンがテーブルに腰を掛け、尻尾をゆらりと揺らしながら微笑んだ

その金色の瞳がまっすぐに彼女を見つめている



「変わってる?」



あみが問い返すと、リアンは軽くくすっと笑った



「だって、人間なのにこうして私たち獣人と普通に話してるし。普通なら、こんな場所には近づきもしないんだよ」



その言葉にマイクが鼻を鳴らし、少し真面目な表情を浮かべた



「まあ、確かに人間は俺たちのことを嫌うことが多いからな。お前みたいなのは珍しいよ」



その瞬間、あみは手を止めて二人を見た



「どうして、そんなに嫌われるの?」




リアンとマイクは視線を交わし

少し言葉を選ぶような間を置いた後

リアンが静かに口を開いた



「昔ね、私たち獣人は人間たちよりもずっと強くて、優れた能力を持っていたの。でも……その強さを人間たちは受け入れられなかったの」



「受け入れられなかった?」



あみが問い返すと、リアンは少し寂しげに頷いた



「人間たちはね、自分たちより強いものを恐れるの。私たちが彼らを守る立場になればいい、って思うけど……逆にその強さが脅威になったみたいで。それが差別の始まりだったの」



今度はマイクが低い声で続けた



「人間たちが俺たち獣人を嫌い始めた理由なんて、結局その“恐怖”なんだよな。どんなに平等だって表向きに言っても、裏では俺たちが危険な存在扱いされてる。仕事もない、病院にも行けない、それが現実だ」




リアンが尻尾を軽く振りながら苦笑した



「それで、私たち獣人はだんだん孤立していったの。今はもう、職もないし、まともに医療も受けられない。そういう状況を変えるために、ジアたちは立ち上がったのよ」




あみは目を見開き、二人の話に耳を傾け続けた

その一言一言が、彼らの持つ痛みをはっきりと伝えていた



「それじゃあ、レジスタンスはそのために……?」



リアンは深く頷いた



「そう。私たちはただ、生きたいだけなの。なのに、それすらも難しくなっちゃった」



あみは皿を手にしながら静かに考えていた

彼らがどれだけ厳しい状況に置かれ

どれほどの努力を重ねてきたのかを感じ取ることができた


そして、自分がこの世界で何をできるのかを模索し始めていた。


そんな彼女の姿を見て、リアンは微かに笑みを浮かべた



「あんた、ここに来た理由は分からないけど……それでも、何かできるって思ってるんでしょ?」



「うん……まだ何ができるかわからないけど」



あみの返事に、リアンとマイクは静かに頷き合った

その瞬間、あみは少しだけ

この場所に居てもいいと思える気持ちが芽生えた




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ