11 不安な足音
朝食を終えたあみは、自分の使ったお皿を手に持ちながら部屋を出た
キッチンを探そうと薄暗い廊下を歩き始める
石造りの壁に足音が反響し、その冷たい雰囲気が彼女を一層小さく感じさせる
「キッチンはどこだろう……?」
小声で呟きながら進むが、道は複雑に入り組んでおり
どちらに向かうべきか分からない
そのうち、鋭い視線が背中に突き刺さるような感覚に襲われた
廊下の先で立ち止まっている複数のレジスタンスの仲間たちがあみをじっと見つめていた
その視線には明確な敵意と警戒が込められている
小さな声で何かが囁かれ、そしてそれがだんだん大きくなっていく
「なんで人間なんかがここにいるんだ?」
その言葉がはっきりと耳に届いた瞬間、あみは立ち尽くしてしまった
「おい、ここは俺たちの場所だぞ!何でこんな奴がうろちょろしてるんだよ!」
ひとりがあみに詰め寄ろうとする
その鋭い瞳と荒々しい声に、あみの手が震え持っていた皿が危うく落ちそうになる
その時、重い靴音が廊下に響いた
あみに近づいてくるその足音は、一つ一つが圧倒的な存在感を放っている
「……番だ」
ジアの低い声が廊下に響き渡った
彼はゆっくりと仲間たちの間に割って入り、鋭い瞳で全員を睨みつけた
「こいつは俺の番だ。それ以上は言わせるな」
その一言に、周囲の空気が一瞬で凍りついた
誰もがジアの言葉に逆らえず、次々と顔を伏せていく
あみは後ろに立ったまま、そのやりとりを見守るしかなかった
「番」という言葉の意味がまだ分からないまま
その重みだけは十分に感じ取っていた
ジアが振り返り、あみに目を向けた
「あまりうろちょろするな」
その冷たい言葉に、あみは思わず小さく頷いた
「でも……ここに居るなら、何か手伝いたいんです」
勇気を振り絞って言葉を紡いだあみに、ジアは一瞬視線を向けただけで無言のまま去っていった
その背中が遠ざかるたびに、あみの胸には言いようのない孤独感が広がっていく
「とりあえず、キッチンに行かないと……」
お皿を手にしたまま、一歩一歩を慎重に進めていった




