10 朝の出会い
次の日の朝、薄暗い部屋の
あみは硬いベッドの上で目を覚まし
ぼんやりと周囲を見渡す
どこかから香ばしい香りが漂ってきて
お腹がぐうっと音を立てた
その瞬間、ノックの音が聞こえた
「あ、あの……朝ごはん、持ってきたけど」
聞こえてきたのは少し高めの声だった
わずかに警戒心が混ざりつつも
どこか女性らしい響きがある
あみが「どうぞ」と小さな声で返すと
ドアが開き、一人の少女が姿を見せた
肩まで伸びるふわふわの茶色い髪
頭には三角形の猫耳がぴょこんと立ち
細い尻尾が後ろで揺れている
その目は金色で、どこか冷たい光を湛えているが
明るさも含んでいるように見えた
「ジアに言われて持ってきたんだけど」
そう言いながら、リアンは手に持ったお盆をテーブルに置いた
そこにはパンとスープ、そして果物が並んでいる
あみは寝ぼけた顔を軽くこすりながら、礼を言った
「ありがとう。えっと……あなたの名前は?」
リアンは一瞬戸惑ったような表情を浮かべながらも
少しだけ背筋を伸ばして答えた
「リアン。ジアの仲間……っていうか、まあ、猫の亜人なんだけど」
彼女のトーンには警戒心が漂っていたが
あみは少しも気にせず笑顔を見せた
「わたしはあみ。よろしくね、リアン」
その無邪気な笑顔にリアンは微かに表情を緩めたが
すぐに顔を背けた
「……よろしくなんて言われても」
あみは気にせず、スープの匂いを嗅ぎながら尋ねた
「リアン、これ作ったの?すごくおいしそう」
「ううん、作ったのは私じゃないよ。キッチンで当番の人が作ったの。私はただ、運んできただけだから」
リアンの声はどこか控えめで
少しだけ肩の力が抜けたようだった
「そうなんだ。でも、運んでくれてありがとう」
あみは心からそう言いながら、スープを一口すすった
その様子をちらりと見たリアンは
困惑しつつも少しだけ口元を緩めた
「……ジアがどうして人間なんかをここに連れてきたのか、私には分からないけど……」
リアンが呟くように言うと、あみは笑顔を崩さず答えた
「わたしも分からないの。でも、ここでできることがあれば手伝いたいと思ってる」
その言葉に、リアンは驚いたように目を丸くした
少し視線を落としながら、「変な子ね、あんた。でも……悪くないかも」と小さくつぶやいた
その言葉を最後に、リアンはお盆を持って部屋を出ていった
けれどその猫耳がピクッと揺れるのをあみはしっかりと見逃さなかった




