夢の中
やっとの思いで家に帰った。よほど疲れた顔をしていたらしい。妻と子供にとても心配されてしまった。
俺を指さして、感染したと。
その言葉が忘れられなくて旧校舎を調べた。
やっぱり、何年かに一回のペースで変死体が見つかっているらしい。一人だけの時もあるし、二人同時に見つかる時もあった。
中には損傷が激しくて身元も分からない死体もあったらしい。
なぜこんなにも身近な場所で事件があったのに、今まで気にしたことがなかったのだろうか。
誰にも見つからないようにひっそりと、小さな記事しかなかったのがどうも恐ろしかった。
その夜、疲れが酷くて早めに眠った。
夢を見た。
旧校舎の夢を。
教室の中には俺と、先輩と、もう一人女子生徒がいて。
先輩はまた俺を指さして言った。
「次はお前らの番だ」
ふと教室の外を見ると、先輩の言っていた通りの女の子がいた。
青白い肌に、真っ黒のおかっぱと真っ黒の目。
見たことも無いような黒いセーラー服。
白と黒の色彩の中、真っ赤な唇だけがニヤニヤと歪んで見えた。
怖い。
目が合った瞬間、鳥肌が止まらなくて。ひざが震えて。
この存在に、何をしても、太刀打ち出来ないと悟る。
もう自分の命が終わるのだと、茫然となって。
もう一人いた女子生徒が走り出した。
きっとあまりの恐怖に逃げ出したのだろう。
するとそれを見たそいつは影が分かれるように分身して、もう一人が女子生徒を追いかけ始めた。
もう一人は、まだ俺を見つめていた。
教室を見回す。
先輩の姿はどこにも見えない。
逃げても逃げても追いかけている形になると、先輩は言っていた。
それならば逃げなければいいのではないか。
そう思った。




