夢の続き
そのままそれと見つめあった。
涙が溢れ、歯がカチカチと音を立てた。
身体中の震えが止まらない。
汗が背中をじっとりと濡らして気持ち悪い。
圧倒的な恐怖。
叫びそうになるのを必死にこらえた。
先輩は一年前にこの夢見てから、ずっと走り続けていたと言っていた。
頭の中でぐるぐるともうすぐ追いついてしまうという言葉と、感染という意味がリピートする。間違いなく、俺は先輩にこの夢を感染させられたのだろう。
目が覚めろ、目が覚めろと、自分に言い聞かせる。
ふと手が机に触れた。
そこには誰かが刃物で刻んだ傷がある。
傷をなぞる。
それはたしかに文字のようで、ついそちらに目を向けた。
『距離がなくなってしまう前に誰かに感染させろ』
意味を考える前に、もう一度それを見た。
それとの距離は僅かばかりか近い。
それはニヤリと笑った。
俺の口から悲鳴が漏れた。
そして自分の悲鳴で起きた。
汗がじっとりとTシャツを濡らして気持ち悪い。
ちょうどいつも起きる時間だったから、そのまま起きて仕事へと向かった。
寝たはずなのに、精神的にはひどい疲労感で。
目を閉じるとあれの顔が浮かんでくる。
その日の夜、同じ高校の同級生から連絡が来た。
同じ部活だったし、先輩の話をしようかと思ったんだ。
そしたら、A先輩が旧校舎の前で死んでいるのを発見されたと。
「一年前ぐらいには、高田先生も行方不明になっているし、物騒だよなぁ」
同級生がそう言った。
先輩はきっと高田先生に感染させられたのかもしれない。
高田先生が行方不明ということは、誰かに感染させる前に捕まってしまったのだろう。
そして、先輩は。
俺に感染はさせた。それでもきっと助かるわけではないのだろう。
おそらく、感染させる前に捕まると永遠に旧校舎から出ることが出来ず行方不明に。
捕まらずに感染させたとしても、あれは許してくれるような存在ではない。死ぬ。
ということは、なにを、どう足掻こうと、俺がもうすぐ死ぬことには変わりはない。
先輩はSNSのたぐいを全くしなかった。
なんでだか、苦手だって言っていた。
じゃあ俺はそういうものを全て使って、誰かを感染させればいい。
あそこで死ぬのは嫌だ。
俺だけ不幸になるなんて、不平等だろう。
そして思いついたのが、このサイトで小説として書いて、不特定多数に読ませることだった。
そしてホラー小説っていう名目で、この夢の話を書いたんだ。
なぁ、誰か読んでいるんだろ?
頼むから読んでくれよ。
読んで、そして感染してくれ。
感染しろ!
感染しろ!!感染しろ!!
もう、一週間、ずっとそれを目の前にする夢を見ているんだ。もう嫌だ。誰か助けてくれ。
誰か感染しろ!!
感染しろ!!感染しろ!!感染しろ!!感染しろ!!
感染しろ!!感染しろ!!
感染しろ!!感染しろ!!感染しろ!!感染しろ!!
感染しろ!!感染しろ!!感染しろ!!感染しろ!!
感染しろ!!感染しろ!!感染しろ!!
感染しろ!!感染しろ!!感染しろ!!感染しろ!!




