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思わぬ味方……味方?

 あたしはゴブリン子ちゃんをカウンターの下、ゴミ箱の陰に押し込む。彼女も慌てて姿を消す。


 もう遅いんだって! 少なくとも、支配人とあの青年には見られてるってば。


 ゴブリン子ちゃんの捕物が始まって大騒ぎになる——そして宿泊所の方まで余波が広がり、ヒナも危険な目にあう——


 そんな想像が一瞬であたしの脳裏に浮かぶ。


「なんだ、なんだ」


「どうした!?」


 酒場は騒然となった。 


 近くのテーブルの冒険者はすぐに席を立ち、カウンターは黒山の人だかりとなる。


 あたしは血の気が引き、めまいがするのを感じた。どうしたらいいんだ。


 と、支配人が意外にもこういった。


「ああ、ネズミが出たんですよ、みなさん。……君、ダメじゃないか。ネズミくらいであんなに大きな声を出して」


 ハッとして支配人の顔を見ると、眉を上げて合図する。


 何だかわからないが、とりあえずこの場を収めようとしてくれているらしい。


 と、あたしが声も出せないのを見て取ったのか、青年も笑ってみせる。


「いや〜可愛らしいなぁ、そんなことであんな大仰な声だしちゃって。僕もびっくりしましたよ」


 ねえ、と支配人と青年は二人で笑顔を交わす。


「みなさん、うちの酒場は普段から清潔にしているので通常ネズミなどおりません。ご安心ください——今回のように、たまに酒場の入り口側から紛れ込むことがありますが。どうぞ、出入りの際には扉を閉めてくださいね」


 と、衛生面の説明までしちゃって。


 あたしは、突然あたしとゴブリン子ちゃんをかばう行動にでたこの二人を、半ば恐ろしい思いで眺めた。


カウンターに押し寄せた冒険者たちは、それぞれ席に戻ってゆく。


「何だ、ネズミか」


「人騒がせだなぁ」


「仕切り直して、もう一杯やろうぜ」


 とりあえず当座の危険が去ったようで、あたしはホッと息を吐く。


 でも。


 ——落ち着いて考えると。


 この二人は硬貨が宙に浮くのを見ていた。

 自ずと、それに続く一連の出来事——

 ゴブリン子ちゃんが姿を現し、叫び、それをあたしがゴミ箱の陰に押しやるところまでは目にしただろう。


 姿を自由自在に消せるゴブリンとあたしが知り合いだというのは、もうバレている。


 支配人としては、あたしが彼女を匿っていると思うのが当然だ。


 ああ、仕事と、食・住を失ってしまう。


「君、ちょっと話がある。裏に来て」


 支配人が言うと、


「僕も、やっぱり後で話だけさせてもらうよ。話だけ」


 青年も。


 どちらも笑顔で、でも退かないぞ、という眼で。



 ああ、この後始末、どう切り抜ければいいの?








続く

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