風俗
店内は暗くてよく見えないけれど、
でも部屋から聞いてはいけないような声が
あちこちから聞こえてきた…
奥にある関係者以外立ち入り禁止と
書かれた部屋に入ると、
そこには沢山の女の子達がいた。
みんな私と目があっても、
いつもの事というように全く反応を示さずに
メイクを直したり、
ご飯を食べたり
スマホをいじっていたりと、
同じ空間にいるのに互いに興味がないといった
感じだった。
これはキャバクラでは無いと
私は薄々気づいていたが、
これで今の居心地の悪い仕事をするよりも
ここで1日働くだけで、
今よりも多くのお金が貰えるなら働きたいと思った。
それから私はアパレルのバイトを休んで
風俗に昼から出勤する日が続いた。
ここでは私を怒る人はいない…
お金にも困らない、
みんなが私を求めてくれる。
私は必要とされてる。
私にもできる仕事があったんだ。
私はひとりじゃ無い、
ここにいる女の子たちは
みんな何かしらの理由がある。
仲間のような気持ち。
ここにくると安心する…
それにここでは働いている人達との
深い関わりを禁じている。
連絡先を交換することも出来ない。
関わらずにすむ。
なんて気楽なんだろう。
私はこの仕事が好きになった。
自分に都合のいい仕事だから。
でもお店を出て1人電車に乗って
私がしている仕事を思い出すと
胸を張れなかった。
不安になった。
社会から落ちてしまった感じがした。
家に帰って彼の顔を見るたびに泣きそうになった。
私は一体何をしているんだろう、消えたい。
自分の体が汚らわしい。
自分の意思で働いているのに
自分が嫌でたまらなかった。
私は彼を裏切っている。
隠し通すんだ。
いつかもとの仕事に戻るんだ。
大丈夫、今だけ。
お金を貯めたらアパレルに戻ろう。
そう割り切っても、
彼に少しでも触れられる度に心が痛んだ。
やんわり振り払って、
彼から逃げた。
目も見れなかった。
何で私は風俗で働いてるんだろう。
でも、お金のため。
仕事の上下関係とか気にせずに済む。
アパレルのバイトは息苦しい。
行きたくない、こわい。
でも、私は彼に隠し事をしてる。
後ろめたい。
私がしてるのは良いことじゃない。
そう思うたびに
死にたくてたまらなくて、
私は何度も手首を傷つけていた。




