新しい仕事
派遣社員の面接を何度か受けたが
高卒、ましてや半年ほどで仕事を辞めた私には
どこからも採用の連絡は来なかった。
その度に自分という存在が社会からも
浮いた存在で、私というものが否定された気分になった。
貯金もわずかになり当時家賃を折半して
いたが、それも出来なくなりそうで…
彼にお金の世話になりたくないし、
家を飛び出してここまで来た私は
親にすがる事もしたくなかった。
仕事をすぐに辞めたくせして、
自分の中の変なプライドだけが残っていた。
毎日悩んだ。
SNSで友達が専門や大学生活を楽しんでいる
様子を見なくていいのに見てしまう私がいた。
私は辞めてよかったんだろうか。
自分が甘かったんだ。
怯まずに仕事を続ければよかったんだ。
何で私はいつも逃げてばかりなんだろう。
部活も逃げて、
自分の苦手なクラスメイトを避けて、
会社からも逃げて、
家からだって逃げた。
でもこのままではいけないと
思った。
親に自立できなかったなら
家に帰ってこい!なんて言われたら嫌だ。
落ち込んでないで早く仕事を見つけないといけない。
繋ぎでもいい、
とにかくお金が無いんだ。
アルバイトを探そう。
せっかくなら自分の興味のある事をしよう。
一時的でもフリーターになる決意をした。
仕事を辞めて1ヶ月経ったとき、
私は服が好きだったので洋服販売のアルバイトを始めた。
事務の仕事とは違って難しく覚える
マニュアルは無かった。
最初の3ヶ月は上手くできた。
みんなが気さくに教えてくれて、
その度にメモを取って、
すぐに覚えていけた。
でも新しくレジの仕事をを教えてもらってから
ミスが増えてきた。
何度も繰り返していく中で、
私が自己嫌悪に陥って必死に謝ると、
男性社員は私を慰めて許してくれた。
その時、安堵して一瞬その人の
肩に思わず手が触れてしまった。
ありがとうございます
と言って何事も無かったように業務に戻った。
その時、私は初めて自覚した。
私が人のパーソナルスペースを分からない事に。
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私は小学生の頃どちらかというと
男友達の方が多かった。
週刊少年誌を毎週買ってたし、
服も男物ばかり。
その頃は少女漫画なんて吐き気がしてた。
女の子が欲しがるようなキラキラしたものより
カッコいいものを好んでた。
そんな私が良く女子から聞かれていた言葉は、
『●●君のこと好きなの?』
それはある特定の男子の名前ではなく、
毎回いろんな子だった。
みんな恋の話題が好きなんだ。
私は全く異性として好きなんて思ってない。
ただ友達として好きなんだ。
何でそんなこと言われなきゃいけないんだ…。
私はこのまま楽しく過ごせる友達でいたい。
だからそうやって変に私たちの関係を
勘違いするのをやめて欲しい。
そう思う時もあった。
それからこんな事も良く言われていた。
仲のいい女友達と遊んで話に夢中になると、
歩いてる時にその子に近寄ってしまうことがあった。
そういう時いつも、近いよ!って笑われる事も多かった。
これは高校生の時だって経験があった。
よく言われる事。
それで今更になってやっと気付いた…
何で男好きみたいに思われてたんだろうって
思ってたけど、
私が彼女達を勘違いさせる行動を取っていたから
好きなんじゃないかって勘違いされてたんだ…
店長も前に
「話す時に近い人無理だからさ」
って言ってた。
これはきっと私にも言える事だ…
と当時の私は思った。
私は人に近寄ってしまう事があった。
人のパーソナルスペースを侵してしまってた…
嫌な思いをされていたのかもしれない。
それに気づかなかった。
やっぱり無神経だ。
それに気づいた時、私は今までの自分の行動を
思い出してゾッとした。
あとから分かったが、
私が肩に触れてしまった男性社員と
アルバイトの先輩は、その頃からずっと
付き合っているらしい。
私は彼女にも変に誤解を生むような
行動をしてしまったと反省した。
レジを教わってから、
私はミスを繰り返すようになった。
何度も謝るうちに、
店長は今忙しいから謝るの後にして。
と、呆れた様子だった。
怒ることさえなくなって、
冷たくされる事が多くなった。
そんなある日、
いつものようにミスを謝り終えて
品出しをしていると
「品出し早いんだね!」
ある先輩に褒められた。
ずっと怒らせてばかりいた私が
褒められるなんて久々だった。
まわりの人達も私が褒められているのが
珍しかったからかこちらを見てきた。
すると褒めてくれた先輩は、
「いつも怒ってばかりじゃ成長しないからさ、
たまには褒めてあげないと人間て育たないから。」
自分がミスをするのが悪い。
何を言われても仕方ない。
私は出来ない人間なんだ。
私は自分を更に責めるようになり、
家で家事をする気力も湧かなくなった。
朝ご飯は食べず、
昼は栄養ゼリー、
夜はサラダ
食欲もわかない、
私の肌もどんどん荒れていった。




