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しろのほう  作者: 焚(たき)
『好きだったはずの"ひとり"』
19/39

壊れたコップ

二学期からが始まってからも、

毎日朝練にも参加していた。

でももう逃げたいという気持ちが消せなくなってきていた。


母に部活の事を話してからは、

母から父の耳へ入った。

おおごとにしたくない。

そう思ったから母だけ知っていて欲しいとも

思ったけど、

あの日の母の泣き声が頭をよぎって

母1人に子供である私の問題を背負わせたくないと

感じた。


毎朝、2人でいってらっしゃいと見送ってくれる。

毎日のように朝練に行くのが嫌で涙が溢れて

家に引き返すこともあった。

親の前で泣いてしまうことも沢山あった。

でも絶対に今逃げちゃいけないとも思った。


だから私は家に引き返しても、

きちんとそこで涙を拭いてちゃんと部活にも

学校にも通った。


特に学校の授業には絶対に出ないといけないと

いう意思が強かった。

だって私が休んだら、

次の日突然クラスメイト全員から無視される

ことだってあると思ったから。

わたしの噂がどんどん広がって、

教室でも幽霊みたいな存在になる気がした。

強がってでも意地でも休まなかった。




二学期が始まってから最初の部活のない休日。

私は前から好きだった小説の新刊を読んでいた。

その内容は、虐めを題材にしたものだった。


仲の良かった友達がいる世界から

とある事故で

その子たちから虐められている世界に

ワープしてしまう話だった。


私はこれを読んだ時、

ずっと頭の片隅にあったものと

向き合う機会が出来た。


私は、無視されてるだけ。

蹴られたり死ねとか落書きされたり

直接暴力を振るわれたわけじゃない。

だけど、とっても辛い。

息が苦しい。

それが私が悪い事をしたせいなのは分かってる。


これは虐め、これは違うの線引きは分からない。

虐めにレベルを付けるものなんかじゃない。

本人が虐めだと思えば虐めだとか、

私は悪い事したんだから

無視なんて当然のことで、

虐めと言っていいのか分からない。


それは決して自分を美化して良い子ぶって

思ってるんじゃなかった。

あの時はずっとずっと自分を責めた。

悪いところを直したかった。

だって友達だったんだ。

友達が怒ってるんだ!

私が悪い事したんだよ、

謝らないと、

無神経なの直さないとって思ったんだ。




でも、その本に書いてあったんだ。




"一度壊れてしまったコップにいくら

水を注いでもまずは満たされない、


それなら、新しいコップを探せば良い"





って。




私はあの時、彼女に謝った。

本当は全員いる場で謝るべきだったのかもしれない。

無神経ということは知れたけど、

本当の原因が分からない限り

これ以上謝り続けるのは誠意が無いと思った。

それに、気まずい関係は何も変わらない。

とっくにコップ壊れてたんだ。



私は新しい友達を探すことを

心に決めた。









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