第二話 僕、追放?
えーっと、漫画と一緒の展開ってことは...、追放かなぁ?
親が望むスキルを手に入れた弟を跡継ぎにするためには、長男である僕が邪魔。
だからと言って殺すのは、少々無理がある。
バレた場合、自分たちの首を絞めることになるから。
だから、追放だけど、普通に追放したらしたで外聞が悪い。
...となれば。
病気療養のため、地方へ飛ばすってところか...。
僕はいたって健康体なんだけどね...。
療養なら、誰も文句言えないだろうし...ね。
ま、いいけど。
それに、どんな荒れ果てた土地であっても、僕の『生物成長促進』スキルが役に立つ!
さぁ、どんな展開かなぁ...楽しみ楽しみ。
------------------------数日後
僕は、屋敷を出た。
僕の予想通り、僕は『病人』になった。
空気の綺麗なところで『長期療養』が必要だからという言い訳を作り、領地の一番端っこにある荒地に追放された。
空気が綺麗...って言うか、何もないだけ。
馬車で連れてこられ、僕をボロボロの小屋の前に放って、執事たちは帰っていった。
側にいるのは、見習いメイドのアン。
両親がさすがに一人で療養は外聞が悪いってことで、一緒に行くメイドを選ぼうとしたんだがメイドたちが手を上げず、アンに白羽の矢が立ったというわけだ。
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それからの毎日は大変だった。
井戸が枯れていたので、水がない。
いくら僕のスキルでも水がなければどうしようもない。
でも、アンのスキルが役に立った。
スキル『地質調査』
メイドのスキルじゃなくない!
完全にスローライフ用のスキル。
なんと言う『ご都合主義』だ。
すぐさま、アンに水源を特定するためこの周辺の地質を調べてもらった。
井戸から500メートル離れたところにある山の中にだというのが分かった。
急いで、二人で向かった。
山はそれほど高くなく、それほど疲れることもなく頂上付近にたどり着いた。
湖があった。
山崩れか何かか、湖から井戸に続く道が土砂で埋まっていた。
それをアンのスキルで壊してもらった。
『地質調査』ってそんなこともできるんだ...。
水をひいてから、水質が気になったので、アンに調べてもらった。
『水質』も調査できると...。
それ、本当に『地質調査』?
ま、まぁ、いいか...。
水が通ると、植物が成長できる...。
でも、そもそも荒れ果てた土地で植物がいないんだが?
せめて、種があれば何とかなるんだけど...。
もういっそのこと、湖のある山に引っ越そうかと思っていたとき。
遠いところから、人影のようなものが見えてきた。
それは、キャラバンだった。
隣国へ向かうのに、ここの荒地を通るのが最短ルートらしい。
僕たちのことが噂になっていたらしい。
いつの間にこんな荒地に人が住んでいる変わり者がいるぞと...。
どんな奴らか見て見ようという話になってたみたい。
それで隣国へ抜けるついでに僕たちを見に来たってわけ。
「いやぁ、まさかこんなところで療養ですか。貴族の方も大変なんですね~」
男はそう言いながらこちらを見て話す。
「ははっ、なにぶん体が弱いもので...。」
僕はそう返し、続ける。
「申し訳ないのですが、何か植物の種とか持ってませんか?」
「種ですか?」
驚く男。
「えぇ、こんな何もない土地ですから何か植物でも育てようかと思って...。」
そう答えた僕の目をしばらく見た後、男はため息をつきながらこう言った。
「育てるですか?さすが余裕がありますね、お貴族様は。食べるのに必死な我々とは違うようで...。」
男たちは、そのまま去っていった。
(あ、あれ?こういう時、種じゃなかったとしても何か食べ物とかくれる展開じゃないの??)
参ったなぁ、思った展開じゃないなぁ。
どうしようかと思案していたら、アンがこちらに種を持ってきた。
「アン!?これはいったいどこで??」
僕は驚いてそう尋ねた。
アンが山に植わっている植物の種を探し拾ってきてくれたんだ。
「ありがとう、アン。」
僕はお礼を言い、その種を植えた。
水をやり、スキルを発動させた。
『生物成長促進!』
種に手を掲げ、スキルを唱える。
見る見るうちに植物は伸び、実を付けていく。
アンは、一つ実った実をもぎ取り、スキルを発動させた。
「これは、ピーチですね。甘くて果汁たっぷりの美味しい果実です。」
アンが皮を剥き、僕に手渡す。
...アンのスキルって何なの?
僕は一口食べて舞い上がり、一個全部食べてしまった。
「あ、ありがと...。うん、美味しい!アンも食べなよ...。あっ...。」
実は一つしか実らなかった。
そして、植物はそのまま枯れてしまった。
成長させ過ぎた。
実を増やすにはこのままじゃダメだ。
もっとうまく調整しないと...。
ちらっとアンの顔を見た。
アンの眉がピクピク動いていた。
怒っているなぁ...、やってしまった...。
「あぁ、うん。今度は僕が種を採ってくるよ。だから、待っててね。」




