↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/23

第二話 名前の長い男たち

-----学園


入学式、道が混んでて馬車がなかなか進まなかった。

だから慌てて降りて走っていったわ、御者の叫び声をバックにね。

何とか滑り込みセーフってところで、勢い余って転んでしまったの。

そしたら。

「だいじょうぶ?ケガはない?」

って、透き通るような美しい響きの音がしたわ。

慌てて振り返ると。

金髪碧眼の絵に描いたような美少年が私を心配そうに見ながら、手を差し伸べてくれていた。

その手をとって、お礼を言おうとしたら、彼の胸に倒れこんでしまって...。

ヤバいって思って顔を上げると、目が合ったの。

吸い込まれそうな綺麗な青い目。

どうしようと思ってたら、すぐ近くにいた女が私を引きはがした。


「殿下に触れるな、痴れ者が!」


そう言いながら怒る女。


「殿下?」


そう、それがこの国の第一王子 ビッグ・バフ・ビューティフル・ブランク・ベイナル・ダマス(Big, Buff, Beautiful, Blank, Banal — Dumbass.)、略して、B5D殿下だ。

このB5D殿下こそが、私のターゲットの一人。

この人を落として、私は成り上がってみせる。


-----卒業式前日


はぁ...色々あったわ。

とりあ、B5D殿下はゲットできた。

後、騎士団長の息子である、ガッツ・グリット・グラント・ゴリラ・ゴブシャイト(Guts, Grit, Grunt, Gorilla, Gobshite)、略して、5G。

それから、インテリ眼鏡のこの国の宰相の息子、チャタリング・コッキー・セレブラル・カワードリー・クルーレス(Chattering, Cocky, Cerebral, Cowardly, Clueless)、略して、5C。

...っていうか、この国の男ども、名前長すぎない?

なんで略称なんかあるの?まじ意味分かんないんだけど。


それはともかく、何とかなった。

後は、お待ちかねの断罪タイム。

そうそう、よくあるアレね。

普通に考えて、平民上がりの男爵令嬢が、身分の差をはき違えて図々しく王子とかに距離詰めたら、窘められるなんて当たり前じゃん。

しかも、婚約者いるんだよ。

そんな状態で距離詰めにいったら、婚約者だって切れるって。

...なんだけど、ここは異世界。

ご都合主義満載でバカみたいな妄想が叶ってしまう場所。

そして、私はヒロイン。

物語の強制力ってやつ?

楽勝楽勝。

明日はしっかり、婚約者どもを断罪して、私はこの国の王妃になるのよ。

でもって、毎日贅沢三昧ってわけ。

ウケるよねー


-----卒業式当日


保護者のいない舞台。

卒業予定者が集まる集会所でそれは始まった。


王子に寄り添うピンク髪の少女。

震えている演技が白々しい。

王子は、卒業式で宣言する。

婚約者に対して、か弱き男爵令嬢を虐めたと。

婚約者は必死に虐めたわけではない、あくまで教育の一環だと答える。

王子が声高らかに叫ぶ。

証拠は揃っているのだと。

騎士団長の息子が王子の婚約者を押さえつけ、宰相の息子がそれを冷たい目で見つめる。

断罪劇が進んでいった。


「殿下、私はいいのです。私にも至らないところはいっぱいありましたから。あまり責めないであげてください...。」

王子の腕に腕を絡ませながらしおらしく囁くヒロイン。

「あぁ、なんと可憐な。なんと、心清らかな...。」

王子を始め、側近たちは感銘を受けていた。


(ちょろいねーこいつら。物語の強制力があるからって簡単に騙されやすくない?この国大丈夫なの?)

(ま、私には関係ないけどねー。とりあ、楽しく遊べたらいいかな)


断罪は終わらない。


(早く終わんないかな。そろそろ飽きてきたんだけど...。)


...あれ?いつの間に夜になった?なんか、暗いんだけど??

「殿下?そろそろ...あれ?」

殿下が動かず、固まっている。

(えっ、なに、どういうこと?)

慌てて周りを見渡す。

誰も一言も発していない。

動きも全くない。

「ちょっ...、5G!5C!」

話しかけるが返答がない。

死...いや、違う。

まるで時が止まったかのように動いていないだけだった。

「ど、どうして...。一体なにが?」


突然、会場がグルグルと回りだした。

な、何が起きてるの?


ビシッと何かが裂けるような音がした。


「へっ?」


突然、地面が割れ、大きな穴が出来た。

そして、ピンク髪の少女は、その間抜けな声と一緒に穴に落ちて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。