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第一話 ヒロイン、転生する

「ムカつくムカつくムカつくんだよぉ!」

「心愛のやつ、良い子ちゃんぶりやがって...。」

人気のない歩道でブツブツと独り言を言う少女。

彼女の名前は、大南(オオミナミ) 聖愛(マリア)。

高校生くらいの年頃で、制服を着てはいるが、自分流にアレンジしており、どこの学校の制服なのか最早誰にも特定できない。

学校には行くものの、授業はまともに受けておらず、教師からも見放されている現状。

親は夜職のため家に帰っても誰もおらず、少女はいつもフラフラしていた。

そんな彼女が誰かの文句を言うのは日常茶飯事で、今日もクラスメイトの文句をひたすらに言いながら歩いていた。


ビシッと何かが裂けるような音がした。


「えっ、な、何?」

辺りを見渡すが何も起きていなかった。

「まったく、何なのよ、驚かすんじゃないわよ!」

誰もいない歩道で何かに向かって吠える少女。


少女が吠えた瞬間、突然地面が陥没した。


「へっ?」

間抜けな声を出して、少女は足から落ちていった。


---------------------------


「...うぅーん、むにゃむにゃ、もう食べられないよう...。」

バコンッ!人の頭を叩く音がした。

「いったーい、なに、なんなのよぉ...。」

少女が目を覚ます。

「あれ?ここどこ??」

古びた家が目の前にあり、周辺は人がまばらに歩いていた。

「はぁ...、あんた何寝ぼけてんのよ、さっさと起きなさい。」

少女の隣には草臥れた中年女性がいた。

「え...っと、あんた誰?」

ゴツンッと拳骨を叩き落される音。

「いったーい、何すんのよ!」

少女が叫ぶと中年女性はこう言い放った。

「誰って?あんたいつまで夢見てんの!母親の姿を忘れたって?」

「へ...母親...。」


な、なんなのこのおばさん。

意味分かんないんだけど。

うちのママは、いつもオシャレに気を使ってバッチリメイクな年齢不詳ババァじゃん。

こんな地味おばさん知らないんだけど...あれ?

...お母さん?

えっ、どういうこと?

私お母さんって思って...。

やばい、頭が混乱してきた...。

な、なに、どういう...。


パタンッ...。


「ちょっ、ど、どうしたんだい、あんた。しっかりしなさい!」


遠くでおばさん...いやお母さんの心配そうな声が聞こえる。

私は...どうしちゃったの....


-----数時間後


私は、マリア。

苗字とかはない、ただのマリア。

普段は町の路上で歩いている人に花を売っている。

年齢は10歳。

鮮やかなピンク髪の美少女よ。

...っていうことらしいわ。


目が覚めたら家に帰ってベッドの上に寝てた。

お母さんが倒れた私を連れて帰ってくれたらしい。

で、色々整理してたら分かった。

これ、異世界転生だって。


私は正直異世界転生とかよく分かんない。

ただ、親友の心愛が異世界転生物にハマってて、会うたびによく分からない話を続けてた。

その中の一つの物語みたいな世界だってことが分かった。

で、私がその物語のヒロインってわけ。

いやぁ、まさかヒロインとはねー

朝起きて鏡見て、な、なに、このピンク髪!

って思った瞬間、記憶が溢れてきた。

私は、これから男爵家の娘として迎えられる。

実は、お母さんはお母さんじゃなくて、ただのおばさん。

男爵がメイドに手を出して、私ともども追い出した。

で、お母さんは私を花屋の店先に置いてどっかに行っちゃったらしい。

花屋のおばさんが店前に泣いている赤ちゃんの声がするって私を見つけて今まで育てたらしい。

ま、今まで育ててくれたことには感謝するけどさ。

結構な美少女なのよ、私。

とてもじゃないけど、こんなしょっぼい町には似合わない。

やっぱ貴族よね、貴族。

せっかく異世界転生したんだから、さっさとこんなところからはおさらばしたいわ。

早く、迎えに来ないかなぁ...。


それから数か月経って、立派な馬車がうちの花屋の前に止まったの。

そんで、迎えに出たおばさんから呼ばれた私は、そのまま馬車に乗り込んで男爵様の屋敷に向かったわ。

おばさんがちょっぴり寂しそうな顔してたけど、ま、手切れ金みたいなの受け取ったみたいだし、良かったんじゃない。


男爵様の屋敷に着いたら、男爵様...お父様にこれからは男爵令嬢としてしっかり勉学に勤しむようにって言われた。

勉学?嫌なんだけど、だっるいじゃん。

後、マナーとか、面倒臭すぎるって。

でも、嫌でも覚えるしかなかった。

断ろうとしたら、鞭で叩かれた。

なんなの、貴族って怖くない?

私、ヒロインだよね?

物語のヒロインってもうちょっと楽してない?


15歳になった頃、お父様から呼び出された。


「お前も、15歳になった。来年から学園に通わせるから、そこで使える男を捕まえてこい。お前の顔なら、ある程度の立場の人間を転がせるはずだ。」

お父様が無茶苦茶なことを言ってきた。

けれど、私に拒否権はない。

まぁ、いいわ。

男爵なんてたかが知れてる。

良い男捕まえて、こんな家から出て行ってやる。

ターゲットを捕まえて成り上がってやるわ。


そんなこんなで、私の学園生活は始まったの。

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