↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/23

第一話 まおうてんせい

僕は、大阪のとある商社で働く会社員。

28歳、男。

社畜というほどバリバリ働いているわけじゃなくて、たまに30分くらいの残業をして、休日は彼女とUSJに行ったりして遊んでる。

今の彼女とは趣味も合うし、何より一緒にいて楽しい。

今日も会社終わりに彼女にLINEして、今度の週末、京橋にできた新感覚カフェに一緒に行こうと約束をした。

多分、このまま結婚するんだろうなぁ...なんて未来を描いてた。


--------------数刻経過


...あれ?

目が開かない...。

開けようとしても何か強い力がかけられてるみたい...。

な、なんで...!?


がんばって...がんばって...何度も何度も繰り返して....。

やっと開けることができた...んだけど。


真っ暗だった。

何も見えない。


あ、あれ?

いつの間に...眠ってた?


とにかく、明かりを探さないと...。

手を...あれ?

手の感覚がない??

手だけじゃない、指の感覚もない。

あるはずのものがない。

な、なんで??

足も何もかもの感覚がない。

僕はパニックに...ならなかった。

パニックになるという感情が起きなかったんだ。

というより感情が極めて希薄だ。

このような状態になっていることへの恐怖どころか、感情そのものが希薄。

どういうこと...??


--------------さらに数刻経過


理解した、理解できた。

僕はいわゆるモンスターだった。

思考を繰り返していて気付いた。

そもそも、人間じゃなかった。

人間の記憶は、前世の記憶だったみたい。

初めは、モンスターに転生したのかな?と思ってたんだけど、そうじゃない。

元からモンスターだったんだ。

前世の記憶が夢になって出ていただけみたい。

すっごく納得した。

手や足なんてあるわけないやん。

当然、目や耳もない。

起きたとき、目を必死に開けようとしてたけど、よく考えたらアレ、ただの口だった。

僕は、スライムみたいな生き物。

洞窟なんかで這いずりながら、昆虫や小さな生き物を消化して生きている。

ただの無害なモンスター。

人間を襲うことなんかしない。

それでも。

人間は僕を見ると襲ってくる。

レアだとか、経験値が入るとか何とか言って...。

どうも、僕は特異個体という奴らしく、あまり存在しないモンスターらしい。

まぁ、確かにまだ、仲間みたいなモンスターと遭遇したことないもんな。


...せっかく、この世に生を受けたんだもん。


...どんな形でも生きていたいよね...。


だから。

僕は人間を喰らう。

少しでも生を長引かせるために...。


--------------


今日は、三人の人間を喰らった。

剣と魔法を使う冒険者風の人間だった。

スライムなら、消化して取り込むんだろうけど、僕には消化器官がない。

僕が喰らうのは、人間の生命エネルギーそのもの。

生命エネルギーが奪われた人間はそのまま眠るように死ぬ。

結果、死体の山が築かれていく。


--------------


もうどれくらい時が経ったんだろう。

ふと周りを見渡せば、動く生き物がいなくなった。

洞窟の中だけじゃない。

外に出てもいない。

この辺りの生き物は僕が全て喰らってしまったんだろう...。

実際、僕自身も、とても大きくなっていた。


以前のように小動物を喰らうだけでは足りなくなっていた。

こんな口しかない奇妙な生き物であっても、飢えはある。

...喰らいたい...人間...、いやこの際、何でもいい。


すべてを喰らいつくしたい...。


...そして、魔王と呼ばれる生き物になった。


--------------


生きとし生ける全ての生き物を喰らいつくした。

目の前には、荒廃し荒れ果てた大地が、ただただ無限に広がっていた。


...あぁ、どうしてこんなことになっちゃったんだろ...。


僕は、ただ。

普通に生きていたいだけなのに...。


... ... ...そして、闇が僕の全てを包み込んだ...。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。