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第91話:次なる刺客、カシウスの静観

翌朝。朝靄が残るグラウンドに、早々と集まった面々の姿があった。

蘭王学園との抗争が落ち着いたのも束の間、旧生徒会室で感じた深まる謎と理事長の不穏な影。調査を進めたいレインは、校舎を見上げる瞳に鋭い光を宿していた。



「カシウス、戦ってあげなさい」



レインが静かに告げると、その隣に控えていた少女――生徒会副会長、カシウスはわずかに首を傾げた。



「……よいのですか?」


「ええ。私はまだ、昨日の件を含めて調査が残っていますので」


「わたしは同行できないのですか? 会長の身に何かあっては……」



主であるレインを案じ、カシウスはどこか心細そうな、しかし冷静な眼差しを向ける。だが、レインは優しく首を振った。



「難しいですね……。それに」



レインが視線をグラウンドの中央へと送る。そこには、準備運動もそこそこに、目をキラキラと輝かせながら拳を突き上げているアリシアの姿があった。



「はーやーくーやーろーうーよーーーっ! !」


「……あれですしね」



レインは困ったように小さく苦笑した。



「分かりました。会長の命とあらば……あの騒々しい転校生の相手、引き受けましょう」



カシウスは静かに一歩前へ踏み出す。レインは短く頷くと、真相の残滓を追うべく、一人校舎の暗がりへと足を進めていった。



「待たせましたね、アリシア」


「へへっ、待ちくたびれたよ! 生徒会の『カシウス』……一回、本気で戦ってみたかったんだ!」



静かなる副会長と、猪突猛進の村娘。新たな嵐の予感を孕みながら、二人の相対する距離がゆっくりと詰まっていく――。

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