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第72話:引き裂かれた真実

「シズモト・ユウ……。まさか……1年前の」



レインの冷徹な仮面が、初めて内側からひび割れた。絶対的な真空の壁を維持する彼女の指先が、かすかに細かく震え始める。



「そうだ……! 1年前、両学園の平穏の象徴として、交換留学生という名の『生徒会役員』としてそちらに籍を置いていた存在……! ボクの大切な、たった一人の妹だ!」



ミカムラの背後の核融合熱が、彼女の激昂に呼応してさらに白く、激しく膨れ上がる。周囲の空間が陽炎のように歪み、コンクリートが沸騰して泡を立てていた。



「そんな……。あれは、貴女が思っているようなことでは――」


「何が違うというんだレイン!! 『魔の7日間』……ッ! あの悪夢の1週間で、ユウは死んだんだ!! お前たち例示学園の、身勝手なエゴの犠牲になってなぁっ!!」



その頃、最上階へと続く薄暗い通路。



「魔の7日間……」



アリシアが、壁のスピーカーから漏れ聞こえる二人の怒号と、モニターに映し出される不穏なノイズを浴びながら、小さく呟いた。いつもの天真爛漫な表情は消え失せ、不気味な予感に身体を硬くさせている。

アリスもまた、鋭い牙を覗かせながら周囲を警戒するように眉をひそめた。



「一体何なんだい、その物々しい事件の名前は。ボクたちの知らないところで、何が起きていたっていうんだ?」



二人の動揺を受け止めるように、前を歩いていたエリカが静かに足を止めた。

彼女の背中は、いつになく重く、そしてどこか壊れそうなほどに張り詰めている。

エリカはゆっくりと二人に振り返ると、ドレスの裾を強く握りしめ、覚悟を決めた瞳で二人を見つめた。



「……仕方がありませんわ。お二人共、覚悟してお聞きなさいな」



スパーク財閥の令嬢として、そしてあの地獄を生きて戻った当事者として。エリカは重い口を開いた。



「かつてこの学園都市の均衡を完全に崩壊させ、多くの生徒の命と尊厳を奪い去った……あの忌まわしき大災厄の話を」

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