第64話:オタクの夢と特攻隊長
エリカたちが最上階へと向かう一方で、公会堂の別のセクターでも激しい戦闘が勃発していた。
「な、なんなんですのこの異空間はーっ! アタチのフリルにホコリがつくでチュァッ!」
激しい咆哮を上げているのは、バレット組の特攻隊長こと金髪縦ロールの小柄な少女、ココアであった。彼女が鋭い魔力爪で目の前の空間を引き裂くたびに、なぜかピンク色やネオンカラーの『2Dエフェクト』が火花のように飛び散る。
彼女の前に立ちはだかるのは、丸メガネの奥の瞳を怪しく輝かせた蘭王学園の生徒――御宅 萌
「フヒッ……フヒヒヒ! 良い、実に良いですぞ……! その合法ロリ的な尊い怒り顔、最高のアニメ作画に落とし込みたいですなぁ!」
「誰が合法ロリですわァッ! 首の皮一枚残して切り飛ばしてやるでチュァッ!!」
怒り心頭のココアが超高速で突進するが、萌は懐から同人誌のような魔導書を取り出し、不敵に叫んだ。
「そうはさせんぞ! 我が魂の具現、とくと見よ! ――【|二次元ドリームフィーバー《夢うつつ》】*!!!」
その瞬間、周囲の空間が完全に『2次元アニメの世界』へと変貌した。背景が少女漫画のようなキラキラした集中線に染まり、物理法則が完全に萌の『脳内妄想』によって支配される。
「くっ……体が、動きにくいでチュ!?」
ココアの超硬質な爪撃が萌の喉元へと迫るが、萌がパチンと指を鳴らすと、萌の前に『巨大なアクリルスタンド(推しキャラ)』が召喚され、絶対的な障壁となってココアの爪を受け止めた。
ガキィィィィンッッッ!!!
「フヒヒ! この世界では、拙者の『推しへの愛の強さ』がそのまま防御力になるのですぞ! さらにこれを受けるが良い!」
萌が魔導書を掲げると、上空から『作画崩壊した巨大なロボット』や「萌えアニメのビーム光線」が、アニメーションのフレームレートを無視してココアへと降り注ぐ。
「あーっ、もう鬱陶しいですわね! アタチの『鉄の覚悟』を舐めるなでチュァァァッ!!」
カクカクと迫るビームを、ココアは野性的な勘と超反応のステップで強引に回避し、アクリルスタンドの盾ごと萌を切り刻むべく、その小さな体から溢れんばかりの凶暴な魔力を爆発させた。
2次元の妄想を現実に押し付けるオタク少女と、すべてを物理で切り裂く特攻ロリ令嬢。
こちらの戦場もまた、カオス極まる異次元の死闘へと突入していた!




