第39話:道なき道を爆走せよ!アルティメット新幹線
エヴェリンの脇に、米俵のように片手で抱え上げられたアリシアが、重い腕をぶら下げたまま素朴なな疑問を口にした。
「で? 移動ってどうするの? ここからネオ浜松までは、確か250キロメートル近くあるよね?」
「グルグルマップいわく、歩きで2日でちゅ。アタチたちの脚力なら1日半でちゅわね」
ココアがスマホの画面を見せながら淡々と答える。10万メートル走を終えたばかりのバレット組にとって、250キロは「ちょっと長めの散歩」程度の認識だった。
「いけそうだけど……。それだと会長たちに追いつく前に、蘭王学園ってところにネオ浜松が占領されちゃうかも。ちょっと時間かかるね」
アリシアがウーンと唸った、その時。
「おーっほっほっほ! 話は全て聞きましたわ!!」
教室の壁をダイナミックにぶち破り、まばゆいスポットライトと共に現れたのは、ご存知財閥令嬢、エリカ・スパークだった!
彼女が薔薇の花びらを撒き散らしながら窓の外を指差すと、そこには、夕日に照らされやたらと黄金色に輝く、新幹線の先頭車両が校庭に鎮座していた。
「……なにこれ? ドクターイエローの成金版?」
アリシアが呆然と呟く。どう見ても一般の鉄道網を走れる色ではない。
「フフン、驚くのは早くてよ! これぞ我がスパーク財閥の科学力の結晶――『究極号』ですわ!!」
エリカは親指をグッと立て、誇らしげに胸を張った。
「ネオ浜松までの線路が抗争で寸断されている? 結構! このアルティメット号は、『道なき道』を時速500キロで爆走できますわ! キャタピラとホバー機能、そしてわたくしの成金魔力エンジンを搭載しておりますの!」
「線路がいらない新幹線って、それもうただの超巨大な爆走爆弾じゃないのぉおぉ!?」
メイの正論ツッコミを置き去りにして、ココアが
「輝いてまチュ」
と無表情に車内へ乗り込み、エヴェリンもアリシアを抱えたまま
「ふーん、頑丈そうね」
と乗車する。
「出発進行ですわ! 蘭王のバイオお嬢様ども、関東の財力の恐ろしさを思い知りなさい!」
ガタガタと黄金の車体が震え、校庭の土を爆発させながら、新幹線はネオ浜松に向けて、アスファルトを削り取りながら猛烈なスタートを切った!




