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第17話:超全速の瞬間移動

「フハハハハ! このままバックブラストの風を浴びせて、全員まとめて引き離して差し上げますわ!」



直立不動のまま音速に迫るバグ加速――『スーパースライド(ボムスライド)』で独走態勢に入ったエヴェリンが、勝利を確信して笑う。

だが、その時。



「ヤヤヤヤヤヤヤッフーーー」



背後から、鼓膜を容赦なく破壊する凄まじい『連続肉撃音』が響き渡った。地面が、まるで局地的な大地震でも起きたかのように激しく震動している。



「なっ……! いま、何かが後方から猛烈な勢いで……!?」



エヴェリンが驚愕して後ろを確認した、その瞬間。



「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ヤーーーッ!!」



凄まじい衝撃波を撒き散らしながら、一人の令嬢がエヴェリンの真横を「並走」……いや、「並滑」していった。

生徒会バッジを胸元で冷たく光らせた黒髪の令嬢――生徒会書記である。

驚くべきことに、彼女は走っていなかった。

なんと書記は、お尻を地面にぴったりとつけた姿勢のまま、マッハを超える速度で後ろ向きに猛突進していたのだ。



「まさか……ケツワープ(平行世界移動)ッ!?」



エヴェリンの顔が恐怖に歪む。

それはかつて、赤い帽子を被った伝説の配管工が、絵画の中に囚われた姫を救うため、あるいは階段の無限ループを強行突破するために編み出したとされる、時空の壁をもすり抜ける伝説のバグ秘奥義。



バグ(仕様の隙間)が使えるのは、貴女だけだと思って?」



書記は冷徹な表情のまま、凄まじい速度で後ろ向きに股関節を屈伸させ、地面に尻を打ち付け続けている。

その度に『ズサササササッ!』と空間が歪み、彼女の持つ負の加速度は無限大へと乗算されていく。壁があろうが、急勾配があろうが、彼女の尻の前には無力。ただひたすらに、位置座標を強制的に書き換えながら進むのみ。



「ひぇぇぇ! 生徒会の人、お尻が火を噴きそうなスピードで迫ってくるよ!」



遥か後方から薪割りの脚力で追いかけるアリシアも、そのあまりにも絵面がシュールすぎる絶望的な暴力(バグ)を前に、冷や汗を流すしかなかった。



「認めない……。あんな村娘も、規律を乱すバレット組も……全員、私のこの『速度の向こう側(ケツワープ)』で置き去りにして差し上げますわ!」



生徒会書記の怒りの尻撃が、10万メートル走のコースを完全に灰へと変えていく!

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