第116話:青き球体
「黙って……殺されてたまるか!!」
凛の叫びとともに、幾重にも重なる青白い球体が凝縮され、砲弾のように次々と放たれた。空間そのものを削り取りながら迫る質量攻撃。
「くっ……全員、散りなさい!」
エリカの怒号と同時に、少女たちは左右へと一斉に跳躍した。直後、彼女たちが立っていたアスファルトが巨大なクレーターとなって爆砕し、強烈な衝撃波が全員の肌を叩く。
「逃がさないよ!」
凛が空中で指を鳴らすと、弾け飛んだ球体が意思を持ったかのように軌道を曲げ、着地点のミカムラとエリカを追撃する。
「私に……メルトダウンをぶつける暇すら与えない気か!」
ミカムラは足元から猛烈な火柱を巻き上げ、迫り来る球体を受け止めた。だが、青い光の障壁は超高熱すら無効化し、勢いを殺さぬままミカムラを押し潰そうと迫る。
「調子に乗るんじゃありませんわ!」
そこへ割って入ったのはエリカだった。扇子を閃かせ、真空の刃を球体の側面に叩き込む。衝撃でわずかに軌道が逸れ、球体はミカムラの髪数本を掠めて後方のビルへと着弾、激しい倒壊音を響かせた。
「あははっ! チームワークは認めてあげる! でもさぁ、その『殺さない戦い方』で、本気の私に勝てると思ってるの!?」
凛の周囲に、さらに十数個の青白い球体が生成される。そのどれもが先ほど以上の魔力を孕み、不気味に明滅していた。
「くっ……バリアの強度が尋常ではありませんわ。生半可な攻撃では傷一つつけられない……!」
エリカは額の汗を拭い、険しい表情で扇子を構え直す。
「凛……! 貴女たちの無念や過去の傷を否定するつもりはない! だが、関係のない人々の命を奪うことだけは……絶対に許さない!」
レインが剣を引き抜き、凛を強く見据える。
「許さない、ねぇ……。だったら止めてみなよ! 150年前の本物の力をさ!」
決裂した双方の意思。ツリーの足元で繰り広げられる激闘は、互いの牙を削り合うように、さらなる混沌へと加速していく――。




