第113話:抗う者たちと正当防衛
激しい制動音とともに、ギャラクシーツリーへと走っていた高速バスが突如として急停車した。慣性で全員の体が前へと大きく揺さぶられる。
フロントガラスの向こう、路上を占拠していたのは異様な武装集団だった。全員が不気味な赤いスカーフを首に巻き、手に無骨なマシンガンを構えている。
「降りてこい! お前たち、能力者だな!!」
「……『レッドエコーズ』ですわね」
エリカが冷酷な眼差しで窓外を睨みつけた。
ライラによって『能力者優生思想』が蔓延した反動として誕生した、非能力者による過激派能力者狩り組織いまや世界各地で、優生思想派とこのレッドエコーズによる血みどろの報復戦争が巻き起こっていた。
「くっ……片手さえ無事なら、こんな奴ら……!」
壊れた左腕の義手を痛々しく抱え、カシウスが悔しさに歯かみを噛む。
バスのドアが力任せにこじ開けられ、銃口が車内へと向けられた。彼らに問答の意思などない。瞳に青紫の光を宿す『能力者』だと分かった瞬間、蜂の巣にして殺害するつもりなのは明白だった。
「――正当防衛、ですわね」
エリカが冷ややかに呟いた直後、衝撃波が車内を駆け抜けた。
「ひぇっ――!?」
銃を撃ち込む隙すら与えず、レインの閃光のような蹴りと、エリカの放つ扇の一撃が炸裂する。ついでにミカムラが車外へ跳んでリーダー格を投げ飛ばし、一瞬のうちに武装集団は路面へと叩きつけられた。
「ごぶっ……! な、なんだコイツら……ッ!?」
「命があっただけ感謝しなさいな。私たちは先を急いでおりますの」
マシンガンをあっさりと折り曲げて捨てると、エリカは優雅に扇子を閉じた。
無力化されたレッドエコーズの惨状を横目に、ギャラクシーツリーへと向かった




