第105話:奪還への宣戦布告
「選挙権および政治家になれるのは『能力者以外』……ふっ、ふはははっ! ここまで露骨か!」
スマートフォンに表示された現代の憲法条文と政治体系のデータをスクロールしながら、ライラは乾いた爆笑を司令室に響かせた。150年前、能力者の権利と世界の変革を訴えて戦った自分たちの努力を、根本から嘲笑うかのような法体制。
傍らに立つミオンが、冷ややかな瞳で悲劇の歴史を付け加える。
「ライラ様が封印された後、政権を握った『精中党』は、この国を露骨に切り売りして国連へと売り渡しました」
「国連……中国の犬どもめ。そこまでして金と保身が欲しかったのかねぇ……」
「ええ。その結果、文化も血統も形骸化し、現在では生粋の日本人であっても、アメリカ人のようなミドルネームや洋風の姓名を名乗ることが一般化してしまっています」
ライラは深々とため息をついた。呆れと怒りが入り混じった複雑な吐息が、冷え切った司令室の空気を揺らす。
「はぁ……世界の変革なんて大層なことを始める前に、まずはこの死に体になった『日本』って国そのものを取り戻さなきゃいけないわけだ。面倒なことだね……」
その時、端末を操作していた校長――クリミが、歓喜の声を上げて振り返った。
「ライラ様! 電波……通じました! 封印各所のサーバーへアクセス成功です!」
「よし……」
ライラは歪んだ笑みを口元に浮かべると、指をパチンと鳴らした。
「眠っている他の奴らも全員叩き起こしなよ。始めようじゃないか……失われた国を取り戻す戦い、略して『国取り』をね!」
150年の刻を経て、本当の戦争が牙を剥こうとしていた。




