↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
104/121

第104話:奪われた国と失われた血脈

例示学園支部――防衛の要であったはずの司令室は、重苦しい沈黙と鉄の匂いに満ちていた。


「まずい……奴が、これほどまでに強力だとは……!」


モニターに映し出された壊滅惨状を前に、汗を流して震える支部長。その背後に、いつの間にか立ちすくむ影があった。


「でしょ?」


「なっ――!?」


ライラは無造作に腕を伸ばすと、支部長の首根っこを猫のようにひっつかみ、空中へと吊り上げた。


「ぐっ……殺せ……!」


絶望に顔を歪める支部長に対し、ライラは心底呆れたように目を細める。


「くっころ? 女騎士じゃないと萌えないな……じゃなかった」


ライラはポッケからスマートフォンの端末を取り出すと、操作して録音モードを起動した。


「日本の現状を教えてもらおうか?」


「なに……!?」


「おかしいじゃないか。あの日、日本人は全員すべからく能力者になったはずだ。それなのに、私を相手にするのに能力者を使わず、たかがAIの機械人形兵士に任せるなんてね」


「ならば……喰らえぇぇッ!!」


支部長は死角から隠し持っていた小型バルカン砲を引き抜き、ゼロ距離でライラへ連射した。

激しい銃声が響く。だが、放たれた高圧の銃弾はライラの肌を一筋も傷つけることなく、彼女の顔の表面でぺたぺたと奇妙にへばりつき、ポロポロと虚しく床へ落ちていく。


「能力者なら、己の能力で戦いなよ……。いや、待て……お前、まさか……能力者じゃないのか?」


「能力……!? そんなもの、ごく一部の『選ばれた存在』しか持てるはずが――」


支部長が言い切るより早く、ライラは一切の躊躇なくその首を捻り折った。冷たくなった肉体を床へ放り投げ、ライラは眉間に深いシワを寄せる。


「日本人は、全員が能力者のはず……。だとしたら……ミオン! まさか……!」


背後に控えていたミオンが、重々しく頭を下げた。


「……はい。だからこそ、私は貴方様を蘇らせたのです……。この国は最早、私たちが変えようとした日本ではありません。……『国連』の支配下におかれた、能力を奪われし傀儡の国なのです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。