第103話:不発の問答
「さっき岩で、試してよかった……サイコキネシス!」
ライラが軽く右手を一振ると、空腹の自衛軍が放った最新鋭のニュークミサイルが空中で急停止した。そのまま凄まじい逆噴射を描き、押し寄せた攻撃ヘリの群れへと逆に飛んでいく。
爆炎が天を突く中、迫り来る重装甲ケルベロス戦車の巨大な砲台が、まるで目に見えぬ巨大な足に踏み潰されたかのようにペシャリと押し潰された。
さらには、無数のロボット歩兵が一斉に放った高出力のビーム銃弾すらも、ライラの体から数十センチ手前で完全に停止し、虚しく空間に固定される。
「150年も経ってて、まだ第4次世界大戦のままか? それとも私を舐めてるのか?」
自衛軍の部隊は、いまやそのほとんどが自動化されたAI任せの軍事システムだ。しかし、AIだからこそ迷いがなく、精密に、そして冷徹に対象を殺戮・滅殺するようプログラミングされている。
「つまらない……つまらない! その程度か! 150年前の奴らの方が、まだ血が通っていて強かったぞ!」
ライラが両手を大きく広げ、握りつぶすような仕草を見せる。
次の瞬間、空空間が歪み、自衛軍の先制展開部隊は――全機体を金属のクズへと変えられ、あっけなく壊滅した。
煙の上がる凄惨な瓦礫の山を背に、ライラはだるそうに息を吐く。
「私を攻撃しに来たってことは……まだこの国は腐ったままか。全く、もう一度やる羽目になるとはね」
足煙の向こうから駆け込んできたアリシアが、睨みつけるように問いただした。
「……何を、やるっていうの?」
「この国を取り仕切る、天狗となったお上に、天誅を下す」
「だったら……私は手伝わない」
アリシアは力強く踏み込み、直球で言い放った。
「ほう? どうしてだい?」
「人殺しは嫌だ」
「そうか……残念だ……」
ライラは慈悲のない冷たい瞳で呟くと、無造作にアリシアへと向けて手をかざした。
「くはっ……!?」
何の予兆もない圧倒的な不可視の衝撃波を受け、アリシアの身体は弾丸のように弾き飛ばされ、遥か後方の瓦礫へと激しく叩きつけられた。




