第101話:真実と超能力
「……貴方、一体何者ですの!?」
エリカが扇子をライラへ突きつけ、油断なく叫んだ。学園の地下深くから現れたあまりにも圧倒的な存在感に、その手は僅かに震えている。
ライラは億劫そうに首を傾げた。
「ん? 歴史の教科書に載ってないかい?……そうか、もみ消したか。木久蔵が」
『木久蔵』――それは150年前、歴史の表舞台にいた旧時代の首相の名だった。
「昔話をしようか。ミオン、時間は大丈夫かい?」
「ええ……まだ自衛軍には気がつかれていないかと」
元理事長――ミオンの言葉に小さく頷くと、ライラは足元に転がっていた巨大な岩石へと緩やかに手をかざした。
何の手触りも触れ合いもなく、ただライラの手の動きに合わせて、トン単位の巨大な岩がふわりと空中に浮き上がる。
「150年前より、もう少し前のことだ。この国の近くに大きな隕石が落ちてきた……。奇跡的に死傷者はゼロ。でもね……」
「その隕石の近くにいた私たち日本人は、特殊な力を手に入れた。……私たちは当時、それを『超能力』と呼んでいたよ」
「……超能力? 魔法じゃないの?」
眉をひそめて尋ねるアリシアに、ライラはくすりと不敵に笑った。
「ふ……名前がなぜ変わったか、かね。まぁ後で調べるとしよう……。で、続きだね」
ライラは浮かかせた岩をあっさりと地面へ叩き落とすと、淡々と言葉を繋ぐ。
「それでね、勿論他の国が私たちを殺そうとしてきたのさ。取り込もうとしてきたりもした。でも全員返り討ちにした。そして気がついたんだ……私たちを本当に道具にしようとしていたのは、この『世界』そのものだとね。だから変えることにしたのさ、この世界を。……んで、結果として封印されたってわけ」
「……端折りすぎでは?」
ミオンの呆れたような突っ込みに、ライラは軽快に肩をそびやかした。
「ん……まぁ、いいでしょ。アタシたちが世界を創り変えた後、新しく作る教科書にたっぷり載せるしさ……」
150年の時を超えて語られた世界の起源。魔法と呼ばれる力の正体、そして解き放たれた『原書の能力者』の脅威が、かつてない絶望となって少女たちに押し寄せようとしていた。




