第100話:150年の目覚め
地鳴りは留まることを知らず、アリシアたちの足元の地面が大きく裂け落ちた。引き裂かれた大地がめくり上がり、まるで一夜にして生まれた隆起山脈のように、グラウンドの中央へ小さく盛り上がっていく。
「地面が……!? これが、カシウスの魔力……!?いや違う…何かが!」
アリシアが引きつった声を上げる中、噴出する漆黒の魔力波とともに、隆起した山の頂から一筋の影が空へと飛び出した。
重い衝撃音とともに舞い降りたのは、異様な圧を身に纏う一人の女性。
「……ここは……学校か?」
立ち込める土煙の向こうから響くその声に、アリシアもカシウスも息を呑んだ。存在そのものが周囲の空間を歪めているかのような、次元の違う圧倒的な魔力の質量。
そこへ、レインの一撃で校舎から吹き飛ばされた理事長が、着地するや否や狂喜乱舞して駆け寄ってきた。
「お久しぶりです! 来羅様!!」
「……魅音か?」
「はい!!」
ライラと呼ばれた女性は、不快そうに目を細めて理事長を見下ろした。
「お前の能力は……『不老』だったか」
学園の150年の歴史、歴代理事長がすべて同一人物だった謎の真相。それは、彼女の固有魔法によるものだったのだ。
状況を飲み込めないアリシアは、拳を握りしめて怒鳴り散らした。
「なんなの急に!? 私たちの戦いの邪魔しないでよ!!」
「この方こそ!例示学園1位!ライラ様だ!」
ライラが、ミオンの肩を掴み前に出る、まるで友人に非礼を詫びるように
「これはこれは……失礼、邪魔をしたね。ところで……今は何年だい?」
「はいっ! それは――」
すかさず答えようとした理事長を、ライラは冷たい眼差しで制した。
「お前に聞いてないよ。……あの娘に聞いたんだ」
鋭い視線に射抜かれたアリシアは、少し気圧されながらも答えた。
「2550年だけど……」
「2550年……150年か。まぁ、当時の首相が『永遠の封印』と誇っていた割には、随分とマシな時間で済んだものだな……」
150年ぶりに地上へ降り立った不吉な超常の存在、ライラ。彼女の完全復活により、学園を巡る過去の陰謀が、悪夢のような現実となって動き出そうとしていた――。




