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28歳の息子と13歳の母の異世界冒険譚  作者: 相沢春人
第8章 エルフの里、再び

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息子と母

 あの日、僕とコーラとアプリで入った盛場で、信じられないものを見た。


 亡くなったはずの母が、13歳の子供の姿で、元気に動いているのを。


 傍らには、何故か敵国の筆頭魔導士がいるし、随分仲も良さそうだし、訳がわからなかったあの日。


 でも――


 混乱したけれど、母さんが生きている、そのことが、途方もなく嬉しかった。


――――――――――


「あ、サム」

「ウィンリィ……」


 開かれていたドアを通って、ウィンリィが座っていたベッドの前まで歩く。


 傍らには、コーラとアプリもいて、目が合った妻は、こくりと頷き、娘もにこりと微笑んで見せた。


 "話しても、大丈夫"と二人が言ってくれているようだった。


 僕は、ウィンリィの目の前に椅子を引いて、腰掛けた。


「横になってなくて大丈夫?」

「うん! たくさん食べたからね! 貧血も大分おさまったよ!」


 ふむ。頬には赤みが差して、大分顔色が良くなっている。虚勢を張っている訳ではなさそうだ。


「良かった。昨日は、僕もどうなることかと思ったけれど、エリィのお陰で何とか乗り切れたよ」

「あ……サムにも、見えたの? エリィの姿」

「うん。ウィンリィのこと、ずっと見てたよ、あの子」

「エリィには、夜、悪夢を見た時に、何度も助けてもらったんだ……何故か、インターには姿が見えないみたいだけど」


 僕らがルートさんの方を見ると、彼は、肩をすくめて、困り顔をして見せた。


「それはさておき、本題に入ったら? 二人とも」


 エリィの姿が見えるのは、ウィンリィとその息子の僕だけなのかもしれない。

 あの過去で出会ったエリィにも、僕がウィンリィの未来の息子だと即座に言い当てられた。


 ウィンリィのことを母さんとも呼んでしまったし、エリィの姿も見えるし、鈍感なところのあるウィンリィにも、流石に僕が自分の息子だと分かってしまったよね……


「サム、もしかして、僕は……」


 それに続く言葉を肯定する覚悟をして、僕は続きを待った――



「君の……お母さんに似ているの?」


 ガターンッ……


 僕は盛大に椅子から滑り落ち、椅子も倒れた。


「サ、サム! 大丈夫!?」

「ぶっくくっ!」

「ふっ、ふふっ……」


 心配するウィンリィと、ルートさんとコーラが吹き出す声に何とか椅子を起こして、座り直す。


 アプリも大きな赤い目をまん丸にして、僕を心配していた。


「……大丈夫。あと、ウィンリィは僕の母親にそっくりだよ。だって、僕の母も、ウィンターコスモスの魔法少女だからさ」

「あっ! そうなんだ! 僕が初代だから、その人は、二代目かな?」

「……二代目はね、僕とコーラの娘、ウィンディが拝命すると思うよ。あの子もウィンターコスモスだから」

「そっ、そうなんだ!? ウィンディ……もウィンターコスモスなんだ! ならきっと強いんだろうね! しかも、サムとコーラの娘だなんて、サラブレッドじゃない!? 将来が楽しみだね!」


 ここまで来ると、これは天性のものなんじゃないかと僕は思った。

 僕の知る母も、戦場ではこれでもかってくらい察しが良いのに、日常生活における察しの悪さは、仲間からも折り紙つきだったから……ほんと、本当にウィンリィは、母さんなんだなと思う。


「後で画像を見せるよ……だって、君の孫でもあるし。君、ウィンディのこととても可愛がっていたしね」

「ま、孫??」

「あははっ……リィ、ここまできて、それはないでしょ。まあ、サムのこと、『お父さんと同じチェリーブロッサムだから、親戚なんだと思う』なんて、言ってた君じゃ、気付かないのも無理はないと思うけどね」

「え?」

「ウィンリィさんらしくて、懐かしいわね。私を育てたあの人も、謎の鈍感力を携えた人だったわ」

「ウィンリィ、私ね、サムとコーラから、何も聞いていないよ。だけど、二人を見てたら、何となく気付けたの……君が


 

サムのお母さんだってこと」


 アプリの言葉に、ウィンリィの目が瞬く間に見開かれ、その視線が徐々に僕に向けられていく。


「こ、子供? 僕の?」

「うん」

「ほんとに?」

「本当だよ」

「サム、もうさ、画像見せたら?」

「そうですね……」


 僕は、アイテムボックス内のタブレットを取り出し、起動させると、画像フォルダから、生前の母と僕とコーラがウィンディを囲んでいるものを出して見せた。


「っ……このピンクの人、僕に似てる……」

「本人だからね」

「……サムを産んだにしては、若過ぎない?」

「高魔力保持者だからね、20代半ばから歳はとっていないはずだよ」

「……」


 画像の中のウィンリィは、長めのボブカットにしている髪を、孫のウィンディに引っ張られているにも関わらず、満面の笑みだ。


 ウィンリィは、その画像をそっと撫でると、顔を上げて、僕の目を見据えた。


「……君の、父親、は?」


 息を呑む。とうとうこれを話す時が来たんだ。

 これを告げて、今のウィンリィは、どう思うのだろうか。

 つい最近まで、アベル先生を思ってたウィンリィに話すのは、気が引けるが、父が――スノークが、ウィンリィだけを思ってた事実を、息子として、ちゃんと伝えたい。


「スノークだよ」


 ウィンリィの桃色の瞳が見開かれていったかと思えば、今度は大きく揺れ動き、伏せられる。


 眉も寄せて、顔も俯いたウィンリィから、絞り出すような声が漏れた。


「スノークが……僕と、子供……を作るわけないよ……嫌われてるのに……」

「嫌ってなどいないわ」


 口を開いたのは、コーラだった。


「私、知ってるもの。夜、誰よりも早く寝入るサムの顔を撫でながら、『お父さんにそっくりだね……』ってそれはもう、幸せそうに呟くウィンリィさんを。あれは、スノークさんに嫌われていたら、決して出てこない言葉と表情だったと思うわ」


 そんな話、聞いてないぞ! コーラってば、教えてくれても良いのに……


「……確かにサム、スノークによく似てる……特に、睫毛が厚くて、長いところ、そっくりだ……」


 言われて、僕は認識阻害魔法を解く。

 解かなくても、ウィンリィには元の顔が見えているのだけれど、そうせずにはいられなかった。

 もっとよく、父に似ている僕の顔を見て欲しくて。


「信じてもらえた?」

「サム……信じるよ。君が、僕とスノークの息子だってこと」

「ウィンリィ……」


 胸が詰まって、それ以上の言葉が出てこなかった。

 ……また会えたことが嬉しかったと言いたいのに。

 僕とコーラは母さんを亡くしてしまった。

 だからこそ、ウィンリィには、自分を優先して、幸せになってほしいと伝えたいのに。


 今、目の前にいるウィンリィは、へへっと笑い、少し照れているように見えた。

 僕も、少し気恥ずかしい。だって13歳の少女を前に、28歳の男が、『あなたは僕のお母さんです』と言っているのだから。


「よし! 二人とも、積もる話もあるだろうけれど、一旦、置いといてね。サムにはやるべき事があるでしょ?」


 ルートさんの声で現実に引き戻される。

 そうだ、早く魔力の子たちの手足を元通りにしなくては!

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるの!!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


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何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m


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