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28歳の息子と13歳の母の異世界冒険譚  作者: 相沢春人
第7章 アイスエッジの動かぬ命

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決壊

「何をしてるの!?」

「!」


 ドアを開けて入って来たのは、点灯式に出ているはずのシュルンだった。


「シュルン、黙っててごめん。僕たちはこの子たちを救出に来たんだ」

「救出?? 何を言ってるの?」


 僕もルートさんも、手を止めなかった。

 ウィンリィを信頼していたし、シュルンが何を言おうと、この子たちを連れて帰ることが目的だからだ。


「……助けに来たんだ。ここに50人も、魔力装置のために囚われてるって聞いたから」

「! 知っているの? この子たちの魔力のこと?」

「うん。『魔力の子』のこと、よく知ってるよ」

「知っていて……何で連れて行こうとしてるの!? あなたたちも! やめて! やめてよ! ここにいなくちゃ、この子たち、死んでしまうわ!!」


 がしいっと、ウィンリィがシュルンを抱き止めた音が聞こえた。


 こっちに来ないように羽交締めにしているのだろう。


「離して! ウィンリィ!!」

「死なないよ。今、二人が付けているのは、魔力転送の魔法具なんだ。その魔力の転送先も、今までと同じ、この下の魔力装置だよ。だから、この国は何も変わらないし、この子たちも自由になれるんだ」


「え……?」

「この子たちを繋いでいたのは、魔力爆発を防ぐためだったんだよね?」


 僕もそう思った。シュルンから、罪悪をまるで感じなかったから。


「でも、もう大丈夫だよ。誰も爆発しない。僕が保証する」


 シュルンが動いていた衣すれの音が聞こえなくなった。


 ……分かってくれたのか?


「……だとしても、"崩壊"の方は、どうするの? この子たちの体を見ればわかるでしょ? どんなに高性能な魔力吸収の魔法具を使っても、全属性魔力による肉体汚染は防げなかった! この子たちの手足は守れなかったのよ!!」


 崩壊? 全属性魔力による汚染? 何の話だ??


「シュルン……この子たちの手足は、国が、王が、やったんじゃないの?」

「違うわ! 王は、そんなことしない! 恐ろしい人だけど、獣人は蹂躙したけれど、この子たちには、そんなことしてない!! だって――王は!


『魔力の子』なのだから!」


 頭が真っ白になる。かろうじて、手を止めることはしなかったが……王が魔力の子? アプリと、この子たちと同じ?


「その御身に魔力汚染を受け続けても、唯一、無事な王にしか、この子たちを助けることは出来ないのよ……分かってよ……お願い」


 シュルン側が抱えていた事情は、僕らが想像していたものよりも遥かに重いものだった。


 "崩壊"の話を聞いた時から、僕の心臓も早鐘を打ち続けている。


 目の前の『魔力の子』の首輪を外しながら考えた。

 今のアプリと同じ年頃の女の子だ。

 あどけない寝顔の下の体に、もちろん、手足は付いていない……

 

 つまり――アプリの体も、もうすぐ崩壊を起こす

ということなのか??


「シュルン、それでも、大丈夫だよ」


 慟哭する頭の中に、その声は、すっと響いた。

 強く、透き通るようなウィンリィの声。


「サムは、凄腕の回復士なんだ。欠損だって治せるよ。だから――」

「欠損回復士だって、何度も外国から呼んだわ! でも、誰も治せなかった……魔力汚染で崩壊した体には、並の魔法じゃあ、効果がないのよ……」


 欠損回復自体、並の魔法ではない。

 でも、シュルンにとっては、治せなかった魔法は、"並"なのだろう。


「並じゃない」

「え?」

「サムは並じゃないよ」


『息子は並じゃない』


 はっとした。ウィンリィの言葉が、記憶の中の母と重なる――


「僕は信じてる! 絶対に治せるって!」

『私は信じてる! 特上だって!』


 あ、最後のは違った。

 これ言った時、12国のお寿司にはまってたからなあ……母さん。


「そんなの……だって……信じられるわけない……」

「信じて、シュルン。約束する。絶対にこの子たちの手足は治るし、魔力汚染も起こさせない。サムなら、その術式が組める!」


「で、出来るわけ……」

「サムはアプリのお父さんだよ! アプリもサムを信頼してる! 友達のことを信じて、シュルン」


 どっと、床に音が響く。


 視界の隅で、ウィンリィの腕の中のシュルンが膝を付いたのが見えた。


「本当に出来るの? 王にもまだ、出来ていないのに……本当に?」


 ぶつぶつと自問自答を繰り返し始めたシュルンの肩を、しゃがんだウィンリィが手で掴み、都度、「信じて」「大丈夫だよ」を言い続けた。


 その間に、僕とルートさんでしていた保護が完了する!


「リィ! 行くよ!」

「うん! わかっ――」


 ドッ!


 立ち上がったウィンリィがルートさんの側へ走ろうとシュルンに背を向けた時だった。


「母さん!!」

「リィ!!」


 ゴボッと血を吐いたウィンリィをルートさんが抱き留める。


「……行かせない、王にしか、きっと……救えないから……」


 僕の胸をまた早鐘が打ち始める――


 ウィンリィの胸を、シュルンが放った氷柱が貫いている光景を、目の当たりにして。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるの!!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。


何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

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