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28歳の息子と13歳の母の異世界冒険譚  作者: 相沢春人
第7章 アイスエッジの動かぬ命

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氷の思い出と作戦決行

「……綺麗」

「……」


 シュルンが見せてくれものは、小さな氷のお城だった。

 領主邸の裏手――誰の目にも触れないようなその場所に、光り輝くそれはあった。


「ウィンリィたち、大広間の氷のお城の点灯式を見ないで帰るって言っていたから。せめてと思って……」


 照れたように、頬を掻きながら、シュルンは二人の顔を交互に見ていた。


「ありがとう、シュルン、こんなに綺麗なもの、私、初めて見たよ……」

「……」


 ウィンリィは、ただただ城を見上げていた。


 その表情は、何処か遠くて、今ではない時間に想いを馳せているように……僕には見えた。


「……ウィンリィ? ど、どう? 気に入らなかった?」

「えっ? あ、違うよ! 凄く綺麗で感激してたんだ! それと……昔、これと同じものを作ってくれた人がいてね、思い出してたんだ……彼のこと」


 ! それはきっと、父――スノークのことだ!


 僕はルートさんの方を見た。

 彼はただ、ウィンリィの背中を見ている。

 その目がとても切ないものに見えて、スノークの息子の僕ですら、胸がツキンと傷んだ。


「……大事な人だったの?」

「うん。僕はもう、嫌われててさ。これを作ってもらえなくなっちゃったけど……だからね、ありがとう、シュルン。僕にまた、これを見せてくれて」

「ウィンリィ……」


 ウィンリィ――母さん、それは違うよ。父さんはずっと母さんだけを思ってた。

 いつか、僕が未来から来た二人の息子だって、話して、このことを教えられたら……


 ぽん、と肩に暖かな手が乗った。

 コーラだった。妻は、微笑して、僕に頷いてみせる。


「サム、これが終わったら、打ち明けましょう? 今のウィンリィにこそ、伝えるべきよ」


 耳元に口を寄せて、僕にしか聞こえない小さな声で、コーラは囁いた。

 僕もそれに同意して、頷く。


「そうだ、中にも入れるから、行こう、二人とも」

「うん」

「うん!」


 笑顔の子供たちが、光り輝く氷の城へ入って行く。


 この子たちのこれからが、どうか明るいものでありますように。


 そう願わずにはいられなかった。


 そして翌日――僕らは、決行日を迎えた。


 点灯式が始まるのは、日が沈んで夜の闇が覆い尽くす時間帯。


 点灯と同時に、粉雪を降らせるこの日は、魔法で雪を消したこの国の国民にとって、かつての郷愁に浸れる貴重な時間だ。


「天候掌握魔法への魔力供給を減らして、あえて雪を降らすんだってさ」

「アプリの魔力調整がもし、上手く行かなくても、多少の揺らぎは、雪のせいに出来ますね」

「そ。本当、この日を逃したら、後がないよ。みんな、覚悟は良い?」

「うん!」

「必ずアプリを守るわ。札は持ったかしら?」

「うん、持ってる」


 アプリの手の中には、僕とルートさんで術式を埋め込んだ鉱石プレート。

 エルフのプラシーくんの調節もあり、一分の隙もなく組み込まれたそれは、魔力の子たちに付ける魔力転送の腕輪からの魔力を取りこぼすことなく全て受動できるだろう。


「よし、行こう!ハイドアンドシーフ作戦、決行だ!」


 なんだかギャグみたいなイオの作戦名だが、誰も代案を出さなかったので、そのまま採用となった。


 宿を出て、誰もいない暗い夜道を5人で足早に歩く。


 大広間の氷のお城に注目するために、この日、街中の街灯は最小限の灯りに限定されていた。


 街中の建物内にも人は残っていないのか、明かりはほとんど灯っていない。


 街中の人が、大広間へと集まっているのだ。


 お陰で、誰にも会うことなく、僕らは領主邸に忍び込めた。


 この日、邸内に駐留しているのは執事長とメイド長の二人だけ。中央の本邸に残ることを事前に調査済みだ。


 まあ、ウィンリィが普通にシュルンに聞いて得た情報だけれども。


 コの字型に突き出している別邸――魔力の子が囚われている左側の部分の窓。


 ルートさんが、窓に手を触れると、影のように伸びた漆黒の魔力が、隙間に入り込み、鍵を開けてくれた。


「アプリ、気を付けて」

「うん」


 地下一階に向かう僕とルートさんとウィンリィは、地下二階の魔力装置へ向かうアプリとコーラを見送り、扉を開けた。


「えっ? だ、誰?」


 虚ではない子供たちがざわつくが、織り込み済みだ!


「子守歌(ララバイ)」


 ウィンリィが眠りの魔法を発動させると、起きていた子供たちも、虚に寝そべる子供たちも、瞼を閉じて、眠りについた。


「サム、サイドから挟み込むように保護して行こう!」

「はい!」


 ベッドは壁際にそって、ぐるっと部屋を一周するように配置されている。


 僕は、右手側へ走り、ルートさんは左手側へ向かった。


 眠る子供の手首へ素早く腕輪をはめ、首輪を外し、アイテムボックスの中へ子供たちを保護していく。


 ウィンリィは見張りを務め、ドアの方へ意識を集中してくれている。


 三分の一ほど、保護し終えた時だった。


 ガチャッ


「何をしてるの!?」

「!」


 部屋にシュルンが入って来たのは。


「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるの!!」


と思ったら


下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から、作品への応援お願い致しますm(_ _)m


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。


何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

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