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28歳の息子と13歳の母の異世界冒険譚  作者: 相沢春人
第6章 エルフの里

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譲渡された魔法と妻の決意

 ウィンリィの修行を見た後、僕とルートさんで鉱石プレートと魔力転送の腕輪を繋ぐ術式をプラシー君も交えて話し合った。


 粗方、構築し終えて、後は細かい調整をプラシー君にお願いし、僕らは各々自室に戻った。


 久しぶりに一人の時間を満喫しようかとも思ったが、それよりも気にかかることがある。


 ウィンリィの母――ヘリオスのことだ。


 僕の祖母でもある彼女が引き起こした第一国の市街地戦闘――その真相を調べるために、僕はアイテムボックスから一枚の古い写真を取り出す。


 生前、母さんはヘリオスのことを一切話さなかった。しかし、戦死した後、私物を整理していたら、母を抱くヘリオスの写真が一枚だけ出てきたのだ。 

「黄色味がかっていて、大分古びてはいるけれど、画像は鮮明だ。これならきっと」


 集中して、写真のヘリオスに探査魔法をかけてみる。


 写真が光を放った後、いつものようにちゃんと本が出てきた。


 市街地戦闘に内容を絞ったから、今回は一冊だけだ。


 それを開き、数ページ手繰っただけで、直ぐに理解した。


「そうだったのか……」


 史実は間違っていた。

 ヘリオスは市民を巻き込んだのではなく――


 これはウィンリィに告げるべきなのだろう。

 でも、伝え方に気をつけなくては、僕の正体のこともまだ隠しておきたいし……


 コンコン。


 考えていると、聞こえたノックの音。

 開けるとルートさんの姿がそこにあった。


「サム、何か高度な魔法発動させたでしょ?」

「わ……ルートさん、どんだけ鼻が効くんですか……」


 ルートさんは部屋に入るなり、僕が読んでいたその調査書を手に取った。


「あ、待って下さい。それは、あまり気持ちの良いものではないので」


 僕は手を叩いて本を消した。


「あらま、君がそう言うなんて、余程だね?」

「まあ、ルートさんなら、一度消した本も出せそうですけどね?」


 この人が本気を出せば、僕がすることなんて何もかも無意味なんだろうなあ。


「? なんで? 君の探査魔法、情熱の塊(ファン・ジン)は固有魔法でしょ?」

「は? え? そんなはず……何でそう思ったのですか?」

「僕に使えなかったから……だけど?」


 にーっこりと深みある笑い方をして、そう答える彼。


「それ、本当ですか?! でも、それなら、僕が使えるのは可笑しいですよ。この魔法は、僕の師匠のリアさんから教えてもらったものですし……」


 リアさんの固有魔法ならば、僕に発動できるわけがない。


 だって、テレポート魔法も、浮遊魔法も、他の固有魔法は発動出来ていないんだぞ!?


「うーん……予想なんだけど、リアちゃんはさ、譲渡したんじゃないのかな? 君に」

「譲渡……」

「心当たりない? 血を分けてもらったとか、生命の危機に魂で寄り添ってもらったとかさ」


 血……血なら、子供の頃に……でも、そんな――


「あります……でも、自分の子供でもない僕になぜ……?」


 当時、リアさんには、子供がいなかった。

 僕は親友の息子であるとはいえ、希少な固有魔法を譲ってもらえるほどの存在だったとは思えない。


「リアちゃんか……リィもよく口にしているよ。大好きな親友だって」


 それは知っている。それでも、それが僕に譲渡するほどの理由になり得るだろうか……


「きっと、リアちゃんにとってもリィは大好きな親友なんだろうね。だからさ、難しく考える必要はないんじゃない?」


 ぽんと肩を叩かれた。


「そんな難しい顔してましたか? 僕……」

「ふ、してたよ。君はさ、自分が思うよりもずっと人に好かれているよ、自信持って」


 バタン。


 ルートさんが出て行った後の扉をしばらく見つめた後、僕は決意して立ち上がる。


「僕の体に探査魔法をかけてみよう。それで……」


 魂に固有魔法が結びついているのかを見て、その術式を解読する。


「自力で組み立てるつもりだったから、ずるしてるみたいだなあ……でも、ウィンディのために、最短ルートがあるなら、やってみなくちゃ! あと……」


 時渡りで見た、僕の魔力封印も解除出来るならしておきたい。


「よし! 魔力が回復したら、再探査だ!」



 そして、コーラも帰ってきて、夕食を共にした後、寝る前に僕の身体に情熱の塊(ファン・ジン)をかけた。


 出てきた本には、僕の体に二つの術式が施されていると書かれていた。


 一つは、魂に結びつけるようにして施されたリアさんの固有魔法、情熱の塊(ファン・ジン)。


 二つ目は、高魔力を人並みに絞る魔力封印の魔法。


 更に、その二つの術式そのものを隠すように認識阻害まで施されていた。


「まじか、リアさん……術式自体に認識阻害かけているとは……いやまあ、僕も同じ立場ならやるかな……」

「ふふ、一筋縄ではいかないわねぇ……あなたのお師匠様は」


 コーラの言う通り、我が師匠リアさんの魔法はとても強固だった。


 認識阻害そのものは解ける。

 しかし、その数が問題だった。


 何重にも重ね掛けされた分厚い術式。

 魔力消費の激しい探査魔法の後では、解除に必要な魔力量は残っていない。


 なのでとりあえず、数だけ把握しようと数えてみたのだが――196個目で僕は挫折した。


「はあ、てか、調査書の最初の一文、ムカつくな……」


『僕は、平々凡々な平魔導士のサム』


「分かってんだよ。そんなことは!」

「ふふ、あなたの一人称なのだから仕方がないわ? 誰もそんな風には思っていないのにね」

「コーラ、ありがとう。でもこれは……」


 地道に解いていくしかないな……


「うう、お父さん頑張るよ。応援してね、ウィンディ」

「私も応援しているわ、あなた」


 項垂れる僕の背を撫でてくれるコーラ。

 ああ、僕の妻、優しいなあ……


「あ、そうだわ、あなたに話したいことがあるの」

「ん?」


 言うと、アイテムボックスから、ショコラさんにあつらえてもらった剣を取り出す妻。


「コーラ?」

「この里にいる剣使いの名手に弟子入りを決めてきたわ。私……」


 す……と、コーラの赤紫の瞳に今まで見たことのない熱がこもるのを僕は見た。


「剣を極めたいの」


「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるの!!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。


何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

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