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28歳の息子と13歳の母の異世界冒険譚  作者: 相沢春人
第6章 エルフの里

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風の精霊王

「『風の精霊王』の加護を得ておるのに、何故、風魔法を修めない?」


「えっ?」


 風の精霊王!? それって、地方によっては、神様として祀られている存在じゃないか!?


「そんなこと、おじいちゃんは何も……」

「はあ……あの変態精霊王、そんなこと一言も言わなかったな……」

「変態? ルートさん、どういうことですか?」

「サムたちと出会う前にね、精霊信仰のある街で、風の精霊王に会いに行く依頼を受けてね……」


 ルートさんは、忌々し気に話し出す。

 精霊王を変態呼ばわりするくらいだ。ウィンリィにまつわる何か嫌なことでもあったのだろうか?


「どんな依頼だったのかしら?」


「はあ、言うのもおぞましいんだけど、


『身体に桃色の部位を要する者、風の精霊王にそれを披露せよ。そして、精霊王からの褒美の品を街に献上すること。さすれば、一人、金貨100枚を褒美として与える』


だよ」


「金貨100枚って、つまり、100万てことですか!?」

「そうだよ。でも、『桃色の部位』って怪し過ぎるし、披露で済む保証もなかったから、僕は反対したんだ」


 確かに、部位って、髪や目の色のことだけじゃなさそうだし、まだ子供の……というか、女性に受けさせちゃいけない依頼な気はする。


「なるほど……でも、結局受けちゃったんですね」

「インターは気乗りしなかったみたいだけど、会いに行くだけで100万なんだよ!? だから僕、押し切ったんだ!」


 いや、えと……僕もウィンリィの保護者だったら、そんな怪しい依頼、絶対に受けさせたくないけど……


「はあ、ともかく、街にいる他の『桃色の部位』を持つ子たちとパーティを組んで、風の精霊王に会いに行ったわけ。そこでさ、リィのことを気に入って加護を授けてくれたんだけど……」


 ルートさんが、アイテムボックスをゴソゴソとして、小さな紙切れを取り出した。


「サム、これ見て」

「これは……」


 小さく折りたたまれたそれを開いてみると、


      〜風の精霊王の加護〜

       《取扱説明書》


        ⭐︎効能一覧⭐︎


     肩凝り 疲労回復 倦怠感の緩和


     美肌効果 関節、筋肉の痛みの緩和


     血行の改善 冷え性 打撲 腰痛

     

     安眠 熟睡 すっきりとした目覚め


 以上、これらの効果は生存する限り続くものとする―――――


「温泉の効能みたいですね……」

「そうなんだよ! あの変態精霊王、肝心なこと何にも言わずにさ……はあ」

「変態だったんですか?」


 『桃色の部位』とか言う時点で、変態臭ぷんぷんだが、あまりにルートさんが変態、変態と言うので、聞いてしまった。


「桃色の部位を視界に納めるのが大好きなんて、変態以外の何者でもないでしょ? しかもあの街は、10年に一度、それを見せることで、精霊王の住む鉱山の鉱石を大量に分けてもらう契約をしていてさ。ほんとろくでもないよ」


 た、確かにろくでもない……


「そんなにおかしな依頼だったかな? おじいちゃん、普通に優しい人だったけど……」

「ふ、変わりないようだな、あの方は」


 ウィンリィ側の意見は後で聞くとして、今はまず、風の魔法を修めるかどうかが問題だ。

 長の方に視線を向けると、目が合った長が頷き、ウィンリィに目を向けた。


「手に入れた経緯はともかく、お前さんは、風の魔法全てを使う権限を得ておる。努力次第で、空も飛べるはずだ」

「えっ?……空……」


 俯いて神妙な顔をするウィンリィをみんな不思議そうに見つめた。

 が、僕とコーラにはウィンリィが俯いた理由に心当たりがある。


「どうする? 手解きがいるなら、教えてやらんこともないぞ?」


 エルフの長の手解き!? これ以上ない申し出だ。


「うーん……」

「どうした? 要らぬのか?」

「あの、でもおじさん、ノアの修行も見てるんだよね?」

「なに、一人増えるくらい、どうと言うこともない。それにノアの方は、ほとんどグレイに任せておる。後はきっかけだけだ」


 そうなんだ、ノア君の完全獣化が順調なのは喜ばしいことだが……


 ウィンリィに目線を移すと、また俯いて考え込むような仕草を見せていた。


 そんな簡単に決められることじゃない。ウィンリィにとって、風の魔法とは――飛行魔法とは、そういうもののはずだ。


「リィ、やってみなよ」


 それまで静観していたルートさんが口を開く。


「え……インター?」

「君の強さは完成されているよ? でも君、新しい魔法覚えたいって言ってたじゃない?」

「そりゃ、さ……僕、殴る、蹴る、耐えるしか魔法使えないから、他のやつ、使えるようにはなりたいけど……」

「何に遠慮しているのかは分からないけど、君はもっとやりたい事に正直になるべきだよ」

「インター……そう、だよね……」


 ルートさんの言葉が届いたのか、ウィンリィは、長に向き直り、


「おじさん、僕に風の魔法の使い方を教えて下さい!」


 言って、ぺこりとお辞儀をした。


「うむ、ならば明日、ノアの修行の後、昼過ぎから始めよう」

「! よろしくお願いします!」


 ルートさんの言う通り、ウィンリィの強さは完成されている。

 だけど、拳闘士以外の魔法は、基本のタグ付けと、睡眠の魔法しか使えない。

 そのことは、僕を育てたウィンリィも少し気にしていた。

 だから、風魔法を使えるようになれば、母がずっと気にしていたことが一つ減るかもしれないのだが……



―――――


 あの後、グレイが下準備をしてくれた鳥をルートさんが蜂の子をあげた油で唐揚げにしてくれた。

 アプリとノアとグレイは、食べたことないと、美味しそうに口に入れていて、僕はこの世界に唐揚げがないことを初めて知った。


「ウィンリィ、お母さんが浮遊魔法の使い手だったこと、言わなかったわね……」

「コーラ、それは……」


 夜、長が提供してくれた部屋で、久しぶりに夫婦二人だけの時間を過ごす。

 

 浮遊魔法の使い手がうちの国には一人だけいた。

 灼熱の魔法少女サンフラワーと呼ばれた彼女の名はヘリオス。


 ウィンリィの母親で、僕の祖母に当たる人だ。


 うちの国どころか、全国を見ても歴史上ただ一人の浮遊魔法の使い手だったヘリオスは、当時最強の魔法少女だった。


 僕も残されていた術式を試してみたが、発動させることは出来なかった。

 おそらく、固有魔法だったのだろう。


「教えているフィルさんにも話さないつもりなのかしら」

「やめておこう、コーラ。きっと、ウィンリィが自分で決めるよ」


 言えるわけない。ここには、一国の魔導士であるルートさんがいる。


 史上初の第一国の市街地戦闘……そこで大量に市民を巻き込み、消滅させた――それが、魔法少女サンフラワーなのだ。


「サムは、あの史実を信じているのかしら?」

「え……だって、二国の歴史書にもはっきりと書いてあったよ?」

「あの国が、本当のことを書くかしらね……」


 ……確かに不自然だ。サンフラワーは、情に熱くて、敵国といえど、市民を巻き込むような人柄ではなかったとも聞く。


「それに、あなたのおばあちゃんがどういう人だったのかくらい、想像がつくわ」


 コーラは豊かな笑みを僕に向けている。

 嬉しいけれど、少し恥ずかしいな……


「……ちょっと、調べてみるよ」


 サンフラワーの画像に、探査魔法をかけてみるか。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるの!!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。


何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

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