↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28歳の息子と13歳の母の異世界冒険譚  作者: 相沢春人
第6章 エルフの里

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/148

再会

 4歳児だった娘が、朝起きたら9歳児くらいに成長していた!!


「な、なな、何で……」

「う、ん……あなた、何を騒いでるの?」

「コ、コーラ、アプリが……」


 妻は、まだ覚醒しきらない眠たそうな表情で、娘に視線を落とす。

 

「あら、大きくなって……お祝いしなくてはね」

「ええ!?」


 いやいやいや、他に言うことあるよね!?


「うーん、皆さん、早起きですねぇ……おや?」


 コーラの隣で寝ていたイオも目を覚ました!

 僕は今度こそ、この異常事態に見合う反応を期待して、イオの顔を見つめたが……


「ああ、アプリ、また大きくなりましたね」


 と言って、アプリの白い髪をさらりと撫でた。


「二人とも驚かないんだね……」


 僕の気持ちを代弁したかのようなウィンリィの言葉に僕は全力で頷いた。


 その時、


「うーん……みんな、早くない? まだ暗いよ……あれ? アプリ……!」


 端で眠っていたルートさんが起き上がり、アプリの方を見て……


「大きくなったねー。リィ、この頃の子供服も持ってるの?」


 今度こそ僕は、ずしゃあっ! と勢いよくずっこけてしまった。


「持ってるけど……て、サム大丈夫??」


 差し伸ばされた手を取って何とか立ち上がると、僕のオーバーリアクションに、きょとんとしている仲間たちの姿。


「みんな、一晩で一足飛びに何年分も成長したんだよ!? 何でそんなに冷静なの!?」


 僕の叫びにも、アプリは寝息を立てたままだし、端で眠るカイも微動だにしない。


「ああ、カイは一度眠ると決まった時間まで起きないんです。時が来れば自然と目を覚ましますので、そっとしておきましょう」

「違うよ、違う! カイのことじゃない!」


 カイをちらりと見てしまったからだろうか、見当違いなことを言い出したイオに声を荒らげてしまった。


「あなた、落ち着きなさいな。シルバーが言っていたじゃない。アプリは、突然大きくなることがあるかもしれないって」


 え? そんなこと言ってたっけ?


「コーラ、サムは瘴気対策の術式を組むのに忙しくて聞いていなかったのではないですか?」

「あら、そうだったかしら……そうだったかもしれないわねぇ……」

「何の話?」


 聞けば、アプリは、1歳の時に突然3歳の姿まで急成長したそうな。


「最近よく眠るので、もしかしたら……とは思っていましたが、サムにも話すべきでしたね」

「いや……このところ考えることが多過ぎてキャパオーバーだったから、話を聞いていたとしても、驚いたと思う……」

「インターは? 君も驚いてなかったよね?」

「ああ、僕のは特に意味はないよ。獣人だからさ、そういうこともあるのかな、くらいで」


 いやいや、この人のことだ。絶対に他に理由がある。


 その後、目覚めたアプリは、立ち上がるとウィンリィと頭一つ分ほどしか違いがないほど背が伸びていた。


 つまり、昨日ウィンリィに貰ったシャツもズボンもつんつるてんになってしまっている。


「僕、今までの服、全部とっといてあるから、ちょうど良い服がきっとあるよ!」


 とアイテムボックスを漁るウィンリィ。


 僕は思い出す。母はズボラで、片付けが苦手だったことを。

 実家が割と片付いていたのは、何でもかんでも母がアイテムボックスに入れていたからなのだと。


 しかし、それでは、中はごちゃごちゃで、探し物が永久に見つからなかったので、リアさんが検索機能をつけてくれたのだが……


 今の14歳の母のアイテムボックスにはついていないはず……


 きっと、探し出すのに丸一日はかかるぞ……と僕が覚悟を決めた時。


「あったよー」


 次々と出てくるアプリにぴったりそうな服の数々。


「ウィンリィ……ありがとう……早かったね」

「? うん、毎年整理整頓していたからね」


 そういえば、昨日も短時間のうちに着替えを終えていたな……

 しかし、母が整理整頓とは。子供の頃はちゃんとしていたことに驚きだ。



「ふふ。昨日もあっという間に丁度良い服を出してくれたものね。ありがとう、ウィンリィ」

「へへ、スノークがさ、君はズボラだから、年に一度は整理しようって手伝ってくれたおかげだよ」


 なんと! いつもジンとか、アベルとか、ルートさんの名前ばかり出している母の口から父の名が!


「……スノーク元気にしてるかな」


 無意識だろうか、寂しそうに呟かれたその声に、僕は思わずルートさんの方を見た。

 ウィンリィの声は小さかったが、彼の耳にも届いていたようで――

 ルートさんの表情は、いつもと変わらない少し笑んだ大人の顔だったが、ほんの少しだけ、寂しそうに僕には見えた。

 

―――――


 朝食は、プラシーが取れたての果物と野菜を持ってきてくれた。

 それに、ルートさんが手持ちの小麦粉と卵、牛乳で作ったホットケーキを合わせ、プラシーも共に食卓を囲む。


 食事の要らないイオとカイは、ウィンターン上空を偵察に行ってくれた。

 救出して逃げる際に通れそうな結界の薄いところを探ってくれるそうだ。有り難い。


「プラシー、ホットケーキいらないの? 美味しいよ?」

「うん。エルフは、陽の光と、水と、植物で充分なんだ」


 植物も朝しか摂らず、昼も夜も水以外は口にしないそうだ。


 食べ終わって、水瓶の中から洗い物用に水を掬い、流しに持って行くと、ウィンリィが洗い物を引き受けてくれた。


 コーラは、先ほどウィンリィが出してくれた子供服の中から、アプリに似合いそうな組み合わせを考えている。


 ウィンリィの子供服は、彼女自身が自分のために買ったものがほとんどなかった。

 仲間たちのお下がりであるそれらは、統一性がなく、様々な服が混在している。


 センスのない僕にコーディネートを考えるのは無理だが、コーラなら可愛い組み合わせを、正解を導けるだろう。多分。


「返事が届くまでもう少し時間があります。僕は水を調達しに行きますので、皆さんはゆっくりしていて下さい」


 プラシー君は、昨日、ことごとくルートさんに邪魔をされたからか、ウィンリィに手伝ってとは言わなかった。


 今もルートさんは、本を読むフリをして、プラシー君に漆黒の魔力を向けている。

 ちなみに、洗い物をしているウィンリィは、気づいていない。


 水汲みは魔法で行うそうだが、泊まるところも食べるものも提供してもらっているのに、手伝わないのも心苦しくて、僕は同行を願い出た。


「僕も行くよ。手伝わせて?」

「……私も行く」

「ありがとうございます。三人いるなら、川で洗濯もしましょう。ウィンリィ、風魔法で水を巻き上げて家まで運ぶから、窓は空けておいてね」

「うん! 分かった!」


 アプリも名乗りを上げたので、洗濯用の大きな木の盥と、洗濯物を持って三人で川辺に向かった。


 その川は、プラシー君の家から、真っ直ぐに長の家の方向に向かって流れていて、返事を携えた小鳥が飛んで来るのも、この方角だろうと道中話してくれた。


「時に強く、時に穏やかに、時にそっと、時に厳しく、大気を揺らせ――風の運搬車(アネモフォロス)」


 穏やかな風が川に落ちるように吹いて、巻き上がった水滴を横から吹く風が、僕らの来た道を辿って流れて行く。


「わあ……綺麗な魔法だね、アプリ」

「……うん。水滴がキラキラして……虹も出てるよ」

「あっ、本当だ。よく気が付いたね」

「……ん。」


 体が大きくなっても、中身はそのままのようで、話す言葉は、昨日までのアプリと何ら違いは感じなくて、少しほっとした。ただ、元々4歳児にしては大人びてしっかり者の娘ではあるが。


「この風魔法を見るのは初めてですか?」

「うん。風のエルフは、やっぱり風魔法に明るいのかな?」

「一番使いやすいのは風ですが、他にも、地、水、火の中で、生活に必要な簡単な火の魔法なんかは、みんな子供の頃に会得しますよ」


 ふむ。電気主体の僕らの世界とも、都市機能の中に生活魔法が組み込まれていたオータンとも違う。 ここはもっと自然に寄り添った暮らしをしているようだ。


 魔法も、それに伴った生活に便利なものが主流と見える。


「よし、自動で水瓶いっぱいになったら止まりますので、僕らは洗濯を済ませましょう!」


 プラシー君は、腕を捲って川の水を盥に入れて、洗剤代わりのソープナッツを三粒放り込んだ。

 そこに昨夜の衣類を入れて、みんなの手で揉み込む。


「……お洗濯、久しぶり」

「はは、そうだね。ずっと清潔魔法だけだったから」

「ああ、旅の間はそれでも充分ですよね」

「うん。だけど、たまには水で洗わないと、気持ち的にも肌触り的にもすっきりしないからね」


 特に下着は、だんだんごわついて気持ち悪くなるので、ずっと手洗いしてきた。


 三人でじゃぶじゃぶと洗うと、あっという間に泡立って、汚れも浮いてくる。


「排水はこっちの穴に流します。中に濾過装置がありますので」


 一見、背の低い井戸に見える石造りの穴に、泡水を流す。

 三度すすぎを繰り返して、洗濯は完了した。


「ふう。さあ、帰って干しましょう」


 衣類の水気を、プラシー君と力を合わせて絞り切った時、黄色の小鳥がパタリ、と彼の肩に舞い降りた。


「あれ? 返事は?」


 手紙が括り付けてあると思った足首には何も付いておらず、僕らは首を傾げたが……


「皆さーん!!」


 男性の声が聞こえて、そちらに視線を向けると、川沿いをこちらに向かって走る人影が二つ目に入る。


「待って下さーい」

「? どこかで聞いたことのある声のような……」

 

 背の高いガタイの良い男性と、ウィンリィくらいの背丈の少年だ。


「ノア」

「えっ?」


 アプリが呼んだ名に、少年の姿を思い出すより先に、ノアと見知らぬ男性が目前に迫る。


「アプリ!!」


 ノア少年は、大きな声で名を呼び、飛びつくようにアプリに抱きつき、

大きくなっていたアプリは、自分より頭一つ分大きい少年をしっかりと抱き止めて見せた。


「アプリ、アプリ……」

「ノア」


 獣人同士の挨拶なのだろうか、互いにくんくんと匂いを嗅ぐような仕草を見せる二人。


 納得いくまで確かめ合えたのか、今度は硬く抱き締め合ったまま、動かなくなった。


 どうやらノア少年、アプリが大分大きくなっていることに気付かないくらい、感激しているようだ。


「おや、伝令代わりに来たんですね」

「え? どういうこと?」


 何でノアが? 獣人の村があるスプリーンからは、遠路はるばる海を超えて来ないと行けないこのエルフの里に?


「サムさん、お久しぶりです」

「その声……えっ? まさか……」

「あ、グレイです。サムさん」


 灰色の髪も瞳の色も、僕の知る狼獣人のグレイそのものだったが――


「その姿……人間??」


 そう、狼そのものだった顔立ちは、人と代わりない姿に変わっていた。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるの!!」


と思ったら


下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から、作品への応援お願い致しますm(_ _)m


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。


何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。