番外編③ 予約席
《ルート視点》
はあ、寝付けないな……
あの子が、あんな顔で笑って、僕に触れるから。
それを思い出しながら、今は何も付いていない耳たぶを触る。
予備の護符ピアスはあるけれど、あの子が選んでくれると言ったから、ここは、予約だ。
「……僕が女の子だったら、責任取ってって言ってるところだよ? リィ……」
―――――
「ルートさん、嬉しそうですね……」
「えー、いつも通りだけど? 良い朝だね、サム」
空は晴天――しかし、サムの表情は曇っている。
「耳……何も付けていないんですね……予備とかはないんですか?」
「ふふふ、これはね、予約。リィが選んでくれるまではね、空けておくのさ」
サムが奥歯をギリィ……と噛み締める音が聞こえた。
少し言い過ぎたかな?
「く……父さん、この男の暴挙を許してもいいのでしょうか!」
「ちょ……サム、本音が漏れてるよ」
息子の君にあんな光景見せるのもどうかとは思うけど、少しくらいは許してほしいな。
「あ、おはよ、インター! 付けとくね」
通りすがりに、口を合わせてくる可愛い少女。
リィにとっては、ただの防御魔法――だけど、僕にとっては別の意味を持つ、大事な行為。
「ん、ありがと、リィ」
「どういたしまして、サムにも付けるねー」
僕だって、これに毎朝耐えているのだから。
「面白かった!」
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