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28歳の息子と13歳の母の異世界冒険譚  作者: 相沢春人
第5章 王室と魔族

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新しい武器

 収穫祭は月曜から始まって、七日間催され、最終日には王宮主導で巨大な鉄板焼きが振る舞われた。


 首都ハーベストの大広間で行われたそれを見届けてから、僕らはショコラさんの鍛造所(フォージ)に向かっている。


「アプリ、お好み焼き美味しい?」

「……うん、ソースが甘くて、好き」

「ふふ、美味しいもの、たくさん知れて良かったわねぇ」


 何と、巨大鉄板焼きで振る舞われたのは、お好み焼きだったのだ。

 今、アプリとウィンリィは、厚手の紙に包まれたそれを食べながら歩き、コーラは二人を優しい目で見ている。


「この世界、ところどころ僕らのいた世界と同じ食べ物がありますよね……」

「はは……僕らみたいな転移者が広めたんじゃない?」


 そうなのだろうか? ルートさんなら、もっと深い意見が聞けそうな気がしたのだけれど、これは知っててあえて言わないでいるパターンかな。


「はあー、美味しかったあ! コーラとサムのおかげだね!」

「ふふ、たまたまよ」

「まさか、あの時の依頼のウルツ鋼の使い道が、鉄板焼き用のプレートとはね……」

「魔法で均一に熱が通るから、大人数用に向いてるんだよ」


 時渡りの迷宮に入る前に受けたウルツ鋼採掘の依頼――ヘムタイトさんが王宮からの依頼だとは言っていたが、まさか、鉄板焼き用とは、誰も予想出来ないと思う。


―――――


「刀を一本に、大人用の小刀を4本、子供用に二本……コーラさんのご依頼の品です」


 テーブルの上に綺麗に並べられた武器たち。

 コーラは先ず、刀を手に取り、鞘から抜くと、天に翳した。

 元々、黒曜石のような黒さを持っていたウルツ鋼だが、鍛えあげられて、更にその黒さを増している。


「密度がかなり上がってるわね……これなら、ウルツ鋼自体も切り出せるのではないかしら?」

「可能です。しかし、切り出し専用なら、もっと向いた形がありますので」


 

 聞けば、切り出し専用の魔法具に使う刃も、ウルツ鋼なのだそうな。


「それと、ウルツ鋼に余裕がありましたので……剣を一振り、鍛えました」


 剣……とコーラは目を見開く。

 ショコラは、アイテムボックスから、それを取り出すとテーブルの上に置き、一息に理由を話し出した。


「刀は、斬ることに長けていますが、剣は、貫くことと、叩くことに適しています。持っていて損はないと勝手ながら判断致しました」


 コーラは、刀を置き、剣を手に取ると、少し、ほんの少しだけ、眉を顰めた。


「あ……お気に召しませんでしたか?」

「いいえ。私が昔、生み出したかった形そのものだったから驚いただけよ。ありがとうショコラ」


 ふわりと笑んだコーラに、ショコラは胸を撫で下ろし、今度は僕の方を向く。


「あの、サムさんには、こちらをあつらえました」

「これは……!」


 ゴトリと、僕の目の前に置かれたその形状……

 元の世界の人間ならば、誰もが一度は目にしたことのある打撃に特化したそのフォルム。


「これは、遠い異国の伝統的なスポーツで使用される道具でして、打撃にとても特化しています。

攻撃手段に慣れていない人間が鋭利な武器を持つと、仲間に怪我を負わせる恐れもあり、危険なので、このような滑らかな形状のものが良いと判断致しました」


「わあ! 僕これ、久しぶりに見たよ!」

「なるほど……確かに、持つだけなら安全で、攻撃しようと振った時に初めて危険物になる……初心者が武器として所持するのに適した道具だよ、これは」


 いやあの、バットですけど?


「あ、あと、一人きりで戦う時用に、こちらも用意致しました」


 ゴトリと、置かれたそれは、元のバットとほぼ同じ形だったが……


「? トゲトゲ? 」

「くっ! ふふっ!」


 アプリが小首を傾げ、

 ルートさんが堪えきれず吹き出し、


「わあ、当たったら痛そう……」

「これは確かに単独戦闘用ねぇ……」


 ウィンリィとコーラは見たままを述べた。


「これはですね、元のものに釘のような突起を生やした形状になりまして、当たった時の破壊力は、倍に跳ね上がります。くれぐれも仲間のいない場所で使って下さい」


 いやあの、釘バットですけど?


「あと、破片を集めて作った小結石です。魔法具の嵌め込みに適したサイズで成形しました」

「あ、ああ、助かります」


 反転結界の魔法具用に頼んでおいたのだが、ショコラさんの技術力のお陰か、思ったよりも多く出来ていたし、カットも魔力吸収により適したものが施されていた。


「へぇ……これなら、サムの反転結界、更に強固に出来るんじゃない?」

「そうですね……前に破片で作ったものも、これに変えてまた調整してみます」


―――――


 コーラとウィンリィとアプリをショコラさんのところへ残し、僕とルートさんは先に王宮への帰路についた。


「今ごろ、女子四人で恋バナとかしてるのかな?」

「むむ……アプリに恋バナはまだ早いですし、コーラは人妻ですし、ウィンリィだって、周りに同年代の男の子もいませんし……しないですよ、そんなの」


 そう? とおどけて見せた彼に気になっていたことを一つ聞いた。


「ルートさん、本当にウルツ鋼製の武器を作らなくて良かったのですか?」


 ウィンリィには、ウルツ鋼製のメリケンサックを持たせている彼だが、自身は持っていない。


「うん。僕には、身内がくれたお下がりの剣があるからさ」


 身内……というと、過去を見てきた僕の脳裏には藍色の髪を靡かせたロートの姿が浮かんだ。


「ウルツ鋼ほどじゃないけど、中々良い品でね。それに、手に馴染むんだ……不思議だよね。滅多に使わないのにさ」


 ルートさんは、懐かしむように目を細め、握り込んだ手をじっと見つめていた――


 その日の夜。

 僕は、廊下でウィンリィに呼び止められた。


「どうしたの? そろそろ寝る時間だよ?」

「ねえ、サム、50人の魔力の子たちなんだけど……」

「う、うん」


 僕の問いをスルーして、突然、真剣な眼差しになるウィンリィ。


「助け出した後のこと考えてる?」

「……まだなんだ。これから、マロンとイオに相談しようと思っていたところなんだけど」

「実はさ、ショコラがそういうのに、使えるかもって、教えてくれた場所があるんだ」


 ショコラさんが!? というか、話しちゃったのか……この作戦は危険で、下手をしたらウィンターンという国を敵に回しかねないというのに。


「ウィンターンとサマーンの間にある『エルフの里』そこなら、大人数を匿えるかもってさ」

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるの!!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


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