↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28歳の息子と13歳の母の異世界冒険譚  作者: 相沢春人
第9章 還る竜と少女の決断

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

144/152

土砂降りのレイン

 綺麗な若草色をしているその大きな二つの卵は、時折、ぶるぶると揺れていた。


 孵る直前の大きな卵、しかも若草色? まさか――


「わあ! これって竜の卵だよね!? イオとおんなじ気配がする!」

「ウィンリィ、いつの間に……」


 部屋に入ってきたウィンリィが小声で叫ぶ。彼女の言う気配は置いておいて、イオの言っていたルアの特徴は、若草色の外皮に、同じ色の瞳。


 目の前の卵と同じ色だ。でも……


「ふむ。同じ気配か……リィがそういうなら、信憑性は高いねぇ」

「これが、竜の卵……」


 ルートさんとアプリも部屋に入ってきた。


 竜の卵だとして、どうやって生まれたんだ? ルアは雄で、番(つがい)のスアも亡くなっているのに?


 それに、イオの話だと、竜は一度に10個の卵を産む。それも生涯に一度だけだ。今この場にスアが産んだ卵があるはずがない。でも――


「サム、可能性があるならこれは持ち帰ろう」

「そうですね」


 迷っている時間はない。いつエリフルに気付かれてもおかしくはないのだ。

 僕らは急いでガラス檻を調べて、開閉ボタンを見つけて押した。

 そして中に入ると、細心の注意を払いつつ、卵をアイテムボックスに仕舞おうとした。


「サムと僕のアイテムボックスに一つずつ……いや、僕のにまとめよう」


 ルートさんはきっと今、イオのことを思い出している。イオの卵は番を失った後、孵らなかった。


 僕らの世界のアイテムボックスは、本人が死ぬとボックス自体も失われてしまう。


 これが、番で生きることを前提に生み出されている竜の卵なら、どのみち、生きるも死ぬも共にいられるようにするべきだろう。


「あなた、ルアはまだ見つかっていないけれど、長居は無用な気がするわ」

「そうだよね……今回はここまでにして一旦、逃げた方が良い。みんなもそれでいい?」


 ルートさんもウィンリィもアプリもこくりと頷いた。

 次、来る時は、警備が今より強固になっているかもしれない。それでも、僕らの優先順位は卵を回収した時点で、ルアを捜索することよりも、卵を無事にイオに渡すことに自然と切り替わっていた。


 それに、ルアと同じ色の卵があったのだ。ルア本人もここにいる可能性が高いことがはっきりした。それだけでも潜入した甲斐がある。


 僕らが同じ思いで階段のある場所まで向かうと、コツン、コツン、と上の方から誰かが降りてくる音がした!


「! みんな掴まって!」


 ルートさんが早口で呪文を唱える! 高速移動魔法――電閃道(アウトバーン)で強引に突っ切るつもりだ!


 しかし、彼が術を発動させる前に、バシャアッと室内にも関わらず、土砂降りの雨が僕らに降り注いだ! ルートさんの電閃道は、電撃系統の魔法だ。水の中では僕らもダメージを負ってしまうから発動を封じられたも同然だ。


「君たち誰? どうやって入ってきたの?」


 しゃらん、と何かが揺れる音が、土砂降りの雨の中でも、はっきりと聞こえた。


 雨の中、目を凝らして声の主を見据える。金の瞳に金の髪の美青年だ。

 僕は娘の肩を抱き寄せて後退り、なるべく彼と距離を取った。しかし、アプリの目はずっと彼を追い、その瞳の中には恐怖が浮かんでいる。


 それは、エリフルとエリクスを初めて目撃した時ほどでは無かった。が、娘が畏怖するということは、彼らと同じ種族ということ。


「神獣人……」

「はあ、質問に答えろよ。君たちは誰?」


 階段を降りきり、躊躇うことなく雨の室内へ入って来た彼が苛立たし気に顔を振ると、少し尖った耳に付くスミレ色のピアスがしゃらんと音を立てて揺れた。


「勝手に入ってごめんね。ここに友人の兄弟がいるかもしれなくてね。こっそりお邪魔したんだ」


 雨で紛れていたが、空気はとても張り詰めている。しかし、ルートさんはいつもの調子で言葉を返し、ウィンリィも、僕とアプリを庇うように前に出た。


「兄弟? まさか君たち、竜と交流があるの?」

「まあね。若草色の竜を知ってる?」


 神獣二人と大量の魔獣を相手にすることになったとしても、僕ら五人に分が悪いわけじゃない。

 けど、ここは敵地の真っ只中で、唯一の出口は、神獣人の真後ろにある。更にルアの卵かもしれない竜の卵を僕らは持っている。今ここで戦闘になったらまずい。


「若草色ね。いたとして、引き渡すと思う?」

「どうかな? 君たちじゃないから分からないよ。でも――」


 その時、神獣人の背後からコーラが現れて、瞬時に彼の首に片腕を回し、刀の刃を顎の下に当てた!


「っ……」

「嫌でも引き渡してもらうわ」


 うちの奥さん、暗殺者並みだ。いつの間にか姿が見えなくなったかと思ったら、隠れて回り込み、反撃に備えていてくれたとは。

 ルートさんがずっと会話をしていたのも、神獣人を引きつけるための策だったようだ。


「この花の匂い、君ら草花人(そうかびと)? でも、大分血が薄いな……そんなんじゃ、"春送り"も出来ないんじゃない?」


 すうっとコーラが刀をほんの少し横に引く。

 赤い血が滴り、雨に混じった。


「ルアは何処かしら? 案内しなさい」

「はあ、血の薄い草花人には通用しない挑発だったかあ……若草色の竜ならこの下の階にいるよ。もういつ暴発してもおかしくないと思うけど、欲しいなら連れて行けば?」


 暴発!? まさか!


「魔力を限界以上、流したの?」


 震えるアプリの声に、神獣人がうちの娘を見下ろした。


「へぇ、魔力転送の腕輪で気付けなかったな。君、魔力の子じゃん。しかも、見たことのない子だ。あの頃、取りこぼしてたのかな。それとも、意図的に取りこぼした?……エリフル?」


 その瞬間! 神獣人を羽交い締めにしていたコーラの背後を階段から現れたエリフルの鋭い爪が襲った!

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるの!!」


と思ったら


下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から、作品への応援お願い致しますm(_ _)m


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。


何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。