↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28歳の息子と13歳の母の異世界冒険譚  作者: 相沢春人
第9章 還る竜と少女の決断

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

143/152

潜入

「じゃあな、エリフル。急いで行ってくる」

「うん、エリクス。アレフの護衛、宜しく」


 銃魔法の練習後、僕とルートさんは夜まで仮眠を取った。

 そして起きたら、コーラもウィンリィもアプリもおらず、研究施設付近まで慌てて探しに行った。

 見つけた三人は、木陰に潜み、施設を見張ってくれているところだった。


 五人でそのまま身を潜めて見張っていると、中からフェニクスの神獣人エリクスが出てくるのが見えた。


 会話の内容から、ウィンターン王アレフはここにはおらず、今からエリクスが迎えに行くのだろう。


「サム、エリフル一人の今がチャンスじゃない?」

「ルートさん、その通りですけれど、中の戦力がどの程度なのかまだ分かりませんし、もう少し様子を見た方が良くないですか?」

「あなたたちが寝ている間にずっと張っていたけれど、出入りはゼロだったわ」

「それに、気配も魔獣のばっかりで人や獣人は、感じなかったよ」


 コーラもウィンリィも、僕とルートさんほど探査魔法が得意ではないが、本能的な勘や、目視による情報収集は僕らより長けている。

 それでも、神獣人と魔獣のいる施設への潜入は危険だ。だから本当のところ、僕とルートさんの二人で内部探査をしっかり行ってから潜入したいところだったのだが……


「早くしないと、ルアがどうなるか分からない。サム、私は急いだ方が良いと思う」


 アプリの言う通り、ルアが捕らえられているとしたら、どんな目に遭わされているか分からないのだ。確かに間に合わなくなる前に急いだ方が良いか。


「分かった。入ろう」


 僕は、全員に認識阻害を施す。エリクスが出て行った大きな正門を避けて、そこから死角になる外壁

まで移動し、手を触れた。


「やっぱり、外壁の中まで結界が浸透しています。窓はありますけど、ルートさん、いけますか?」


 アイスエッジで領主邸に侵入した時は、窓の隙間から流したルートさんの闇属性の魔力で内側から鍵を開けた。

 今回は、それにプラスして結界魔法が張られている。さすがのルートさんでも無理があるかなと僕は思った。だが、彼はにっこり笑うと窓とサッシの隙間に人差し指で小さく円を描きながら呟いた。


「魔法解除(アーフェン)」


 すると、その円の中だけ結界魔法に穴が空く!


「器用ですね……」

「ふふ。軍ってさ、隠し事が多いじゃない? 秘密文書とか読み漁るために若い頃に覚えた魔法なんだ」


 それはもう犯罪では? と思ったが、僕も自軍の禁書庫に忍び込んでいた身なので、何も言えない。


 そして、ルートさんは穴から難なく闇属性の魔力を流して、内側の鍵をすんなり開けた。


 窓を開けると、結界もそれに付随しているので、簡単に侵入出来た。


 降り立った施設の中は薄暗く、足元に点々とランプの灯りが続くのみ。

 空気も冷んやりとしていて、生き物が捕えられているようには感じない。


 しかし――


「この下……たくさんの魔力がある」

「アプリ、それは君と同じ『全属性の魔力』ってこと?」


 娘はこくりと頷いた。魔力の子であるウィンターン王が魔力を流した魔獣なら、『全属性の魔力』を帯びているのが自然だ。

 僕らは下に続く階段を探して、慎重に歩みを進める。


 ウィンリィの言う通り、辺りに人や獣人の気配はまるで感じなかった。しかし、神獣人であるエリフルがいるのは確かなのだ。彼女だけでも、対峙したら怪我人が出るかもしれない。

 なるべく見つからずにルアを見つけ出して逃げる。

 それが僕らの目的だった。


 しばらく歩き回って地下に続く階段を見つけた僕らは、辿り着いたそこで、異様な光景を目の当たりにした。


 それまで薄暗く足元を照らすだけだった灯りは、天井から吊り下がっている数多のランプで煌々と地下空間を照らし、大小様々なガラス張りの檻が広大な空間に数えきれないほどあるのを包み隠さず見せていた。


 ガラス檻は飴色をしており、中身が純粋な珪砂ではなく、琥珀を織り込んだものだと見てとれた。


 檻の中には、見るからに凶暴そうな魔獣がたくさん捕えられており、元気な個体はガラスの壁を破ろうと体当たりをしたり、魔法を撃ったりしている。


「これは……強化ガラスに琥珀を重ねて防弾ガラスに近い強度を持たせているのかな……文明が中世レベルのこの世界で、とんでもない技術だね」

「フェニクスの火魔法と真冬の国ウィンターンの氷魔法の合わせ技ですかね……」


 軍の防弾ガラスは、魔法ではなく科学力で作られたものだった。

 僕らの世界の魔導士は数が少ないので、人々の生活の基盤は科学で成り立っていたからだ。

 しかし、この世界は逆で、魔法で生活基盤を支えていることの方が多い。


 なので、魔法で防弾ガラスを作っていても何ら不思議ではないのだが、実際目の当たりにすると、感動すら湧いてしまう。


「何だか、可哀想だね……」


 ウィンリィの悲しそうな声に僕は我に帰った。

 散々、魔獣を葬ってきた彼女だが、食べるでも、倒して魔力を吸収するでもなく、ただ実験のために捕えられている様に思うところがあるようだった。


「リィ、今は目的を果たすことに集中しよう」

「うん、分かってるよ、インター」


 ルートさんに言われて、ウィンリィはガラスの檻から目を離す。


 そうして、今度は全員で手分けして行方不明の竜、ルアを探した。


 イオに聞いたルアの外見は、若草色の外皮に同じ色の瞳。

 まあ、竜自体そうそういるものではないし、行方不明なのもルア一体だけなので、いたとしたら見つけるのは容易いと思うのだが。


「あなた、来て」


 その時、妻のコーラが珍しく険しい表情で僕の腕を引いた。


 彼女について行くと、地下空間の端に扉があり、開くと中には――


「卵……」


 一抱えほどもある大きな卵が二個。

 ガラス張りの檻の中、ふかふかのクッションの上に大事そうに置かれていた。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるの!!」


と思ったら


下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から、作品への応援お願い致しますm(_ _)m


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。


何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。