↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28歳の息子と13歳の母の異世界冒険譚  作者: 相沢春人
第9章 還る竜と少女の決断

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/153

転移者の足跡

「ふむ、この下に空間があるのは確かだけれど……入り方が分からないねぇ……」

「そうですね……床に隙間も見つかりませんし……」


 五人の中で探査が得意な僕とルートさんで、彼が落とした魔力が吸収されていった辺りの床を調べたけれど、入り口は見つからなかった。


「サム、床を壊してみようか?」

「ウィンリィ、それは最終手段で。コーラ! 本棚におかしな所はない?」

「そうねぇ……いたって普通の本棚に見えるわ」

「うーん、本棚の裏に地下へ続く入り口を開けるスイッチがあったりすると思ったんだけど……」


 コーラとウィンリィとアプリは、本棚を調べてくれているが、今のところ、おかしな点はなさそうだ。


 もう、床を破壊するか、魔力消費の激しい高難度探査魔法を使うしかないかと覚悟を決めた時だった。


「あ……これ……」

「ん? アプリ、何か見つけたの?」


 本棚の低い位置を調べていたアプリが声を漏らし、側に行ったウィンリィも棚の奥を見つめた。


「ここ、少しだけ、レンガが奥にある」

「ほんとだ!! サム! これ多分スイッチだよ!」


 それから、アプリが見つけた場所と同じ高さの棚をぐるりと一周調べてみると、五箇所同じような僅かな窪みを見つけた。五人でそれを同時に押してみる。


 ガコン! と音を立てて床の一部が降りたかと思えば、瞬く間に床が地下へと続く階段に変貌した!


「へぇ……これはなかなか……」


 ルートさんが面白そうな声を上げつつ、階段を覗き込み、手のひらサイズの炎を出して、中を照らした。

 僕も彼の隣から中を覗くと、様々な属性の魔力が本から零れ落ちているのが見てとれた。


「紛れもなく、魔導書ですね……しかも、禁書レベルの……」

「うん、これだけ魔力に満ちていると、疑いようがないね」


 普通、魔導書自体が魔力を持つことはない。

 けれど、禁書レベルの魔導書となると、その本そのものに封印の術式が施されており、経年劣化で、その封印術式から魔力が漏れてしまうことがあるのだ。


「ふうむ。万が一、汚染されることも考えられるかな?」

「そうですね……魔力の子の全属性魔力汚染のこともありますし、ウィンリィだけお留守番ですかね」

「えっ!? 僕、入れないの!?」


 もし、この地下空間に満ちる魔力が、魔力の子の肉体崩壊を引き起こした全属性の魔力と同じ作用をもたらすのであれば、生身の体で入るのは、危険過ぎる。


 しかし、ウィンリィ以外のメンバーは、彼女が毎朝付けてくれている防御魔法「タグ付け」があるので、人体に悪影響を及ぼすほどの魔力ならば、タグが跳ね返してくれるはず。


 タグは、一度作動したら外れてしまうが、その時は、僕が全員を結界で覆って、素早く離脱すれば済むことだ。

 

「リィ、分かるよね? 君だけ無防備なんだってこと」

「むう……分かるけど、サムの結界じゃだめなの?」

「ごめん。さすがに、指先までぴったりと張ることは出来ないから」

「むむ……分かったよ。僕は、ここで見張りをしているね……」


 ウィンリィは、しゅんとしていたが、お留守番を受け入れてくれた。


 残りの四人で地下へ降りると、中央の小さなテーブルの上にランプがあり、ルートさんがそこに炎を移す。


 ランプの光は、部屋全体を煌々と照らし、僕ら四人が寝転がって脚を伸ばせるくらいの円柱状のスペースが見てとれた。そこの壁沿いに大人の背丈ほどの高さの本棚が並んでいる。


「息苦しいほどの魔力密度だ……アプリ、平気?」

「ん……大丈夫だよ、サム」

「長居は無用だね。ちゃちゃっと調べちゃおう」

「そうね」


 各々ばらけて、棚の本を手に取って調べていく。

 事前にみんなで打ち合わせたのは、"転移のヒントになりそうな魔導書"の回収だ。


 つまり、異世界や並行世界に関することが書いてあるもの、テレポート魔法や、それと同系統の魔法のことが書いてあるものを中心に持ち帰るのが目的だ。


 幸い、この廃国は、僕とコーラとルートさんの世界で言うところの古語に酷似した文字――エルフ文字を使っていたので、大まかな内容は理解することが出来た。


 アプリも、エルフの里にいた間にウィンリィから習っていたので、単語の意味くらいは分かるようになっている。


「珍しい魔法が載ってる魔導書はたくさんあるけれど……それらしいものは見当たらないねぇ……」

「そうですね……あ、これ、"足裏の痒みに生涯困らないようにする魔法"……って、何の役に立つんだか……」

「ふふ、"背中の痒みに困らなくなる魔法"というのもあるわよ」

「こっちは……"蚊に刺されても痒くならない魔法"だ……」


 ここの国民、どんだけ痒みに困らされてきたんだ?

 そのまま、目ぼしいものが見つからないまま、粗方調べ終わってしまった。


「ま、まじか……まさか、ほとんどの本が、生活魔法や、痒みに関することだったとは……」

「はは……流石にこれは想定外だったねぇ……」

「サム、大体調べ終わったのだし、アプリと私は先に戻るわね」

「うん……僕とルートさんは、もう少し見てみるよ……何もなさそうだけどね……」


 階段を上るコーラとアプリの後ろ姿を見送って、僕は、肩を落として項垂れた。


 そのまま、本棚を背もたれにして座り込み、後ろに付いた手が、本棚の下の隙間に僅かに入った時だった。


 かさり、と指先に硬いものが当たる。


「ん?」


 僕は、後ろ手の指をさらに伸ばして、その薄くて、硬いものを引っ張り出した。


「これ……!」

「サム? 何か見つけ――!」


 埃を被って白っぽくなっていた長方形の板を慌てて拭うと、漆黒のプレートが現れた。


「鉱石プレート……」


 それは、この世界にある筈のないもの。

 鉱石で出来た僕らの世界の魔法具だった。


「この文字列、三国のものだね……しかも、これ――」

「テレポート魔法の術式、ですね……」


 探し求めていた第三国の異世界転移者――


 彼が落としたものだと僕らは確信していた。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるの!!」


と思ったら


下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から、作品への応援お願い致しますm(_ _)m


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。


何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。