↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28歳の息子と13歳の母の異世界冒険譚  作者: 相沢春人
第8章 エルフの里、再び

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/155

ウィンリィ、モテる

 三日の休養を言い渡された昨日は、ベッドからトイレ以外で動くことを禁じられた僕だったが、二日目からは、魔法さえ使わなければ、自由に出歩いて良いとイオからお許しが出た。


 朝、コーラと共にリビングに行くと、グレイが朝ごはん用のスープを寸胴で作っている真っ最中。


 他のみんなのことを聞くと、ルートさんは、チーズ工房に朝仕込みのフレッシュチーズを取りに行き、イオと長とウィンリィとアプリとノアくんは、魔力の子たちの朝の支度の介助に行ったとのこと。


「みんな、働き者だね……僕も……」

「ダメですよ、サムさん。明日までは、本当にのんびりして下さい」

「グレイ、もっと言ってやってくれるかしら。この人、こういうところだけ、頑固で融通きかなくて昔から困ってるのよ」


 そうして、二人からソファに座るよう言われてしまった僕は、大人しく腰掛けて、二人の朝食の準備を見守ることにした。


 キッチンに並ぶ二人を見ていると、グレイの190近い高身長に、コーラの170近い背丈はとてもしっくりくるなあ……なんて思ってしまう。


 残念ながら、僕の背は、174センチ。

 妻のコーラとあまり変わらないので、グレイやルートさんと並ぶ妻を見る度に、少し、ほんのすこーしだけ、羨ましいと思ってしまっていた。


 それでも子供の頃は、ずっとコーラの方が背が高かったから、追いついて追い越した時はうれしかったのだけど……


 バターン!


 そんなことを考えていたら、勢いよく扉が開かれた!


「あっ、サム、ベッド謹慎解けたんだね!」


 入って来たのは、ウィンリィと――


「お早うございます。サムさん、皆さん」


 浅黒い肌に、襟足の長い癖毛がちな艶やかな黒髪と黒目がちなアメジストの瞳。


 長やプラシーくんの耳よりも細く鋭い印象を受けるエルフ耳。


 精巧な彫刻を思わせる美少年がそこにはいた。


 ウィンリィに肩を支えられた状態で。


「あ、君は、一昨日治療した……マヴロスくん?」

「はい、そうです。サムさん、先日は本当に有難うございました」

「マヴロがね、サムにお礼言いたいって言うからリハビリがてら、連れて来たんだ!」


 マヴロ……もう愛称で呼んでいるとは、分かってはいたけど、つくづく恐ろしいコミュ力だなあ……


 マヴロスくんは、魔力の子たちの中では最年長の17歳のエルフの男の子だ。


 この世界のエルフは、風火水土の四種属だと聞いていたが、マヴロスくんは、何と絶滅したと思われていた闇属性のエルフだった。


 ちなみに、光属性のエルフも女の子が一人、魔力の子の中に確認済みだ。


「そっか。来てくれて有難う。朝食、こっちで食べるかい?」

「あっ! それ良いね! 僕が介助するからさ、一緒に食べよ! マヴロ!」

「いいのか? ウィンリィ、手間をかけるな……」


 気にしないでと言わんばかりに至近距離でにっこりと笑いかけたウィンリィに、マヴロスくんは、少し頬を赤らめた。


 んん……これはまさか、またエルフを惚れさせたのか!? ウィンリィ!


 バターン!


「ウィンリィ! 森で鳥を狩ってきたよ! 君の滋養に良いと思っ……て……」


 これまた勢いよく扉を開けて入ってきたのは、風のエルフのプラシーくんだ!


「プラシー! 有難う! またインターに唐揚げにしてもらおうかな!」


 ウィンリィはマヴロスくんを僕の向かいのソファに座らせると、嬉々としてプラシーくんの手から大きな鳥を受け取った。


 そして、グレイに下処理をお願いしに、キッチンへと入って行く。


 残されたのは、僕と、プラシーくんとマヴロスくんの三人だ。


 エルフの美形二人は、互いを見定めるように見つめ合っており……何だかとても気まずい空気である。


「……君、ウィンリィの何? どうして肩を借りていたの?」

「一昨日、サムさんに治療してもらったばかりで、まだ上手く歩けないから支えてもらっていたんだ。お前こそ、ウィンリィの何なんだ?」

「僕は、これから彼氏になる予定のプラシーだよ」


 おお、彼氏とは……プラシーくん、大きく出たな……


「ふん……俺は、これからウィンリィの伴侶になる予定のマヴロスだ」


 伴侶!? 伴侶って、17歳の男の子が使う言葉じゃなくない!?


 ウィンリィとマヴロスくんの初対面って、昨日だよね? プラシーくんの時も思ったけど、二人とも惚れるの早過ぎない??


 ガチャ……


「みんな、朝仕込みのアンソティロス――モッツァレラチーズみたいなの貰ってきたよ。ここのチーズは絶品だからね、今日のお昼はピザでも焼こう……か……」


 はい、ここで真打、ウィンリィの保護者のルートさんの登場でございます。


 ルートさんも険悪な二人の少年(プラシーくん50歳だけれど……)の様子に気付いた様子。


「あ、インター! チーズ貰ってきてくれたの? やったあ! 僕チーズ大好き!」

「はは、知ってる。ほら――」


 ルートさんが、ボウルの中の一口サイズの球体をウィンリィの口に押し当てた!


「うむ……はむ、むぎゅ……美味しい〜!」

「それは良かった。あ、もう、よだれ垂れてるよ」


 言って、ウィンリィの口元を拭った親指を、ぺろりと舐めるルートさん!


 おお、エルフ二人の目がこれでもかと見開かれた!


「プラシー、あと君はマヴロスか……二人ともここで朝食を食べるんだね? なら、プラシー、マヴロスの介助をよろしくね」


「っ……い、嫌だ……」

「お、俺はウィンリィに……」


 抗議を上げた二人だったが、ルートさんの瞳の冷たさに気付き、閉口する。


「文句あるかな? 二人とも?」


 更ににっこりと笑顔を貼り付けたルートさんに恐怖を感じたのか、二人は黙って頷いた。


「ふふ、良かったね、マヴロ、エルフのお友達が増えたね!」


 ええ!?……このやり取りを見て、何とも思わないのか、ウィンリィ! 鈍感力を携えた察しの悪さは、きっと多くの少年たちの心を打ち砕いてきたんだろうなあ……


 ふと、母の過去で見た赤い髪の魔法少年ジンのことを思い出す。


 紆余曲折あって、母の最愛となる彼も、昔はこんな思いを何度もしたのではないだろうかと。


 そして、牽制を終えたルートさんは、キッチンに入り、ウィンリィは、コーラと一緒に寸胴入りのスープを魔力の子たちの待つ家へと運んで行った。


 プラシーくんは、ウィンリィが負傷して帰ってきたことを知っているからか、重い寸胴を代わりに持とうとしていたが、「せっかくだから、マヴロとお話してて!」と言われてしまい、切ない顔でこちらに戻って来た。


 ちなみに、ウィンリィとコーラは、そのまま子どもたちの朝食介助をするから、僕らの朝食はその後だ。


 恋敵くんコンビと同じ空間に残された僕は、気まずさから話題を探して、目を泳がせたが、僕が何か言う前に、プラシーくんの声が沈黙を破った。


「……ねぇ、マヴロス、僕らいがみ合っている場合じゃないと思うんだけど」

「……ああ、プラシー、その通りだな。先ずはアイツを倒さないと」


 二人の視線の先には、キッチンに残り、サラダを盛り付けているルートさんの姿。


 共通の強敵を前に二人は結託することに決めたようだ。仲良くなれそうで良かった良かった。


 そして、盛り付けを終えたルートさんは、サラダボウルと取り皿を僕らのテーブルに置くと、プラシーくんを一瞥して口を開いた。


「プラシー、鳥、有難うね。今グレイが綺麗に捌いてくれてるよ」

「それは良かったです。唐揚げにするんですか?」

「うん。子供たちが好きだからね。魔力の子たちにも振る舞うよ。気に入ってくれるかなあ? ねぇ、マヴロス?」

「……からあげを知らないから何とも言えん……でも、ウィンリィの好物なら、きっと美味しいのだろう」

「うん。僕の世界の子供も、もれなく唐揚げが大好きだからね、きっと気に入るよ」


 ふふふ……と笑うルートさんの表情は、いたって普通なのだが……僕は、彼の苛立ちを確かに感じて、背筋が凍る思いだった。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるの!!」


と思ったら


下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から、作品への応援お願い致しますm(_ _)m


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。


何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。