神槍グングニルと、完璧なる復讐
最終安全地帯である中央エリアへ向けて進行を開始したチーム・アテナ。
その道中、彼らは激流に流されていた他チームの残骸から、思いがけないレアアイテムを入手していた。
「まさか、『宝物庫の鍵』を拾えるとはね……運が向いてきたんじゃない?」
くるみが嬉しそうに言う。
ルート上に存在する宝物庫を開錠した三人の目の前には、システム上最強とされる単発超火力スナイパーライフルが鎮座していた。
「プロトタイプ・タルタロス……プレイヤーたちの間では『グングニル』の異名で恐れられている、極悪ピーキー武器ですわね」
雪那がその漆黒の銃身を撫でる。
「フェンリルの狙撃手の火力は異常です。今のコキュートスでは、撃ち合った際に押し負ける。……私には、『一撃で全てを粉砕する火力』が必要ですわ」
装弾数はわずか5発。一発撃つごとのリロードは絶望的に遅く、外せば即座に死を意味する。
「並の狙撃手なら手を出さない代物ですが――私の『神眼』なら、全て必中ですわ」
グングニルを背負い、再び歩き出した直後だった。
雪那の瞳が淡い蒼光を放ち、遥か遠方の斜面を捉える。
「……見つけましたわ」
雪那の冷たい声に、朝日とくるみが立ち止まる。
遥か遠方。通常のスコープでは到底届かず、心音センサーにも引っかからない距離。
そこにいたのは、先ほど吊り橋でくるみを撃ち落とした「王者連合」の片割れチームだった。彼らは「日本最強チームを葬った」と完全に油断し、索敵も疎かになっている。
「……くるみの肩の代償、高くつきますわよ」
雪那は『グングニル』を構え、アルティメットスキル『ラプラスの神眼』を限界まで引き絞った。
視界に浮かび上がる無数の未来の予測線。
雪那が待つのは、ただ一つ。「2人の敵の頭部が、完全に一直線に重なるコンマ1秒」。
「――そこですわ」
ズドォォォォォォォンッ!!!!!
大気を劈く、バトロワの常識を覆すような轟音。
グングニルの銃口から放たれた極太の光条が、遥か遠方の敵へと一直線に伸びる。
それは手前にいた敵の頭部を跡形もなく吹き飛ばし、一切の威力を減衰させることなく、背後の敵の胸郭をも貫通した。
『――【チーム・アテナ】が2名をキルしました』
「な、何が――!?」
突然、味方2人が同時にポリゴンとなって消滅し、パニックに陥る最後の1人。
超遠距離からの狙撃。敵の姿など見えるはずもない。
だが、彼が背後を振り返ろうとした、まさにその瞬間だった。
「よそ見してんじゃねぇぞ」
――ゼロ距離。
雪那が撃鉄を落とすと完全に同時に走り出していた朝日は、すでに敵の背後に肉薄していた。
「なっ――」
ズガァンッ!! ズガァンッ!!
言い終わるより早く、朝日のマスタングが火を噴く。
無慈悲な鉛玉が最後の1人を粉砕し、彼らは自分たちが何に殺されたのかすら理解できないまま、秒速で完全壊滅した。
『――【チーム・アテナ】が【チーム・オーガ】を全滅させました』
「最高の援護ですわ、朝日」
遠くからスコープ越しに微笑む雪那。
「当然だろ。……さあ、次はどのバケモノだ?」
朝日は熱を帯びたマスタングをくるりと回し、最終決戦の地へと鋭い視線を向けた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
雪那の新たな矛、プロトタイプ・タルタロス(通称:グングニル)のお披露目回でした!
くるみを撃ち落とした因縁の敵を、超遠距離からの「1ショット・2キル(貫通)」と朝日の「ゼロ距離急襲」で瞬殺! これが完成した『チーム・アテナ』の連携(理不尽)です!
「ざまぁ展開スカッとした!」「グングニル強すぎ!」と興奮していただけたら、
ぜひページ下部の【☆】を【★】にして応援をお願いいたします!
次回、いよいよバケモノたちが集う最終決戦の地へ……!




