↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アテナ・トリガー~AIに見放された俺だけが世界最強へ~  作者: 案山子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
48/68

名もなき村と、氷の狙撃手の涙

激流に飲み込まれた三人が流れ着いたのは、マップの外れにある名もなき小さな集落だった。

目立った物資が一切配置されていないため、他の猛者たちが見向きもしない空白地帯。皮肉にも、満身創痍の彼らにとってはこれ以上ない安全地帯(セーフゾーン)となっていた。


「……ふぅ」


古びた木造の小屋。朝日は濡れた髪を乱暴に拭いながら、簡素なベッドに横たわる小さな姿を見つめた。

気絶しているくるみのバイタルは安定している。VR上の強烈な痛覚ショックで意識を失っているだけだ。


『――無茶をしますね、朝日。あの激流への落下時、生存確率はわずか12%でしたよ』


朝日のデバイスから、相棒AI・アテナの静かな声が響く。

朝日は薄く笑い、壁に寄りかかった。


「ハッ、ゼロじゃねぇなら上等だ。……それに、あのままくるみが撃ち抜かれるのを見てるくらいなら、一緒に落ちた方がマシだ」

『……ええ。それが「あなた」という人間です』


AIのロジックでは測れない朝日の不合理な、けれど確かな『芯』の強さ。アテナの声には、どこか呆れと、深い肯定が入り混じっていた。


「朝日……っ!」


その時、小屋の扉が勢いよく開き、水も滴る姿の雪那が飛び込んできた。

いつも完璧に整えられている銀髪は乱れ、制服は泥だらけ。何より、普段は冷徹な彼女の瞳からは、大粒の涙が溢れ出していた。


「おお、雪那。無事だっ――」

「バカッ!!」


駆け寄った雪那は、朝日の胸をポカポカと叩きながら泣き崩れた。


「2人とも……っ、死んじゃったかと思いましたのよ……! 私を置いていかないで……っ!」

「悪かったよ。くるみも無事だ、奥で寝てる。……よく生きて合流してくれたな、雪那」


朝日は驚きながらも、泣きじゃくる雪那の正面にしゃがみ込み、「怪我はないか?」と優しく覗き込んだ。

その瞬間、雪那はたまらず朝日の首に腕を回し、ギュッと抱き着いた。


「……今度、同じマネをしたら絶対に許しませんわ。私より先に死んだら、絶対に許さない……っ!」

「雪那……」

「私はもう、誰も失いたくありません。だから……次は必ず、私の【IGL(戦術指揮)】で、あなたたち2人を完璧に守り抜いてみせますわ……!」


涙交じりの、しかし決意に満ちた最強の司令塔の誓い。朝日は少し照れくさそうに、彼女の背中をポンポンと叩いた。


「あ、ぅ……」


その静かな余韻を破るように、小屋の奥でくるみが目を覚ました。

肩にはまだ銃弾に貫かれた痛覚の残滓があるはずだ。しかし彼女は、朝日の姿を見るなり痛みを忘れ、ふらふらと立ち上がって勢いよくその胸に飛び込んだ。


「朝日さん……っ! よかった、無事だったんですね……!!」

「ばっか、お前……! 俺のことはいいんだよ。お前が庇ってくれなきゃ、俺は死んでた。ありがとうな、くるみ」


朝日は飛び込んできたくるみをしっかりと受け止め、その頭を優しく撫でた。

「俺はピンピンしてる。……それより、お前の方は無事か? 肩、まだ痛むだろ」

「へへっ……朝日さんが無事なら、こんなの全然痛くないです!」


ボロボロになりながらも、誰一人欠けることなく合流を果たした【チーム・アテナ】。

雪那も歩み寄り、三人は互いの無事を心から喜び合った。


『――生存チーム、残り9部隊(計27名)。最終安全地帯(ファイナル・リング)への収縮を開始します』


空から響く、無機質で無慈悲なシステムアナウンス。

朝日は立ち上がり、愛銃マスタングの撃鉄をカチリと起こした。


「……さあ、休憩はお終いだ。ここを出て、あのバケモノどもを狩りに行くぞ」

ここまで読んでいただきありがとうございます!

激流からの生還。冷徹なIGL・雪那の涙と、自分の痛みより朝日の無事を喜ぶくるみ。

極限状態だからこそ描ける『チーム・アテナ』の絆の形でした!


そして無慈悲に告げられる安置収縮……いよいよ最終決戦が迫ります!

「雪那のデレ最高!」「くるみ健気すぎる!」と思っていただけたら、

ぜひページ下部の【☆】を【★】にして応援していただけると、明日の執筆の最大のエネルギーになります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。