絶景のチャンピオン
「ガガガガッ! 頼む、死んでくれぇぇ!!」
「クソッ、落ちろぉぉ!!」
地上で繰り広げられる、血を洗うような激突。
雪那が仕掛けた背後からの圧力によって強制的にぶつかり合わされた2チームは、弾薬を使い果たし、回復アイテムを吐き出しながら、文字通りの泥沼の死闘を繰り広げていた。
ドスッ! ズドォン!
最後に残った『チーム・カイザー』のアサルトライフルが、相打ち覚悟の一撃で相手を光の粒子へと変える。
『――【チーム・ミラージュ】全滅』
「はぁ……はぁ……! 勝った……勝ち残ったぞ……!!」
全身傷だらけ、耐久値はミリ単位、残弾数は数発という絶望的な満身創痍。
だが、生き残った彼は歓喜の声を上げた。これで自分たちがこのBブロック……いや、Aブロックの頂点だと。
だが、その勝利の余韻が3秒と続くことはなかった。
「――ご苦労様でしたわ」
遥か頭上、40階建てビルの屋上から届いた、氷のように冷たい少女の声。
「な……っ!?」
満身創痍の男が仰ぎ見た視界を染めたのは、太陽を背にして高層ビルから垂直に急降下してくる、一筋の赤い閃光――狂戦士、朝日だった。
「地獄の底で、作戦会議の成果を噛み締めな!」
くるみが空中に生成したピンポイントの『光の足場』を蹴り、落下の位置エネルギーをそのまま破壊力へと変換する。
ズドォォォォォンッ!!!
「が、は……ッ!?」
空中からの質量攻撃と、至近距離で炸裂した『マスタング』の二連撃。
抵抗の機会すら与えられず、男の体は地面に叩きつけられ、そのまま光の粒子となって消滅した。
『――【チーム・カイザー】全滅』
静寂が、セントラル・シティを包み込む。
直後、巨大なホログラムディスプレイが空中に展開し、無機質なシステム音声がマップ全体に鳴り響いた。
『――VICTORY! Aブロック・チャンピオン:【チーム・アテナ】』
「シャアアアアッ! チャンピオン獲ったぞぉぉぉ!!」
朝日はマスタングを空へ向けて突き上げ、咆哮した。
「ふぅ……作戦通り、無駄なリソースを使わずに完璧な勝利ですわね」
「くるみちゃんの足場も、雪那さんの誘導も完璧でした! すごいです、私たち勝てました……!」
ビルの下で喜びを分かち合う3人。
過酷なバトロワ本戦、そのAブロックを制したのは、誰もが見下していた『最弱』のチームだった。
◇
同時刻――Bブロックの勝者専用リザルトエリア。
『――VICTORY! Bブロック・チャンピオン:【チーム・フェンリル】』
巨大な勝利のログを背に、二丁のサブマシンガンを指で弄んでいたハルが、ふと立ち止まる。
その視線の先にあるモニターには、Aブロックのチャンピオンとして掲げられた【チーム・アテナ】の文字、そして中央で不敵に笑う朝日のアバターが映し出されていた。
「……ふふ、あははっ!」
ハルは喉を鳴らして笑った。狂気と歓喜が混ざり合った、歪んだ笑顔。
「やっぱり勝ち上がってきたね、朝日。……待ちくたびれたよ」
二丁の銃を交差させ、ハルは画面の中の朝日に狙いを定める仕草をする。
「次はいよいよ最終決戦(本戦決勝)……君のその威勢のいい顔が、絶望で歪む瞬間を楽しみにしてるよ」
最弱から駆け上がった【チーム・アテナ】と、圧倒的暴虐の【チーム・フェンリル】。
二つの化物たちが、ついに同じ戦場へと解き放たれようとしていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
Aブロック激闘編、これにて決着! 【チーム・アテナ】見事にチャンピオン獲得です!
そしてBブロックを制したライバル・ハルとの因縁……。
いよいよ次回から、全サーバーの頂点を決める最終決戦(決勝ラウンド)が始まります!
「チャンピオン獲得スカッとした!」「ハルとの対決が楽しみ!」と思っていただけたら、
ぜひ下部の【☆】から評価とブックマークをお願いいたします!
今日からまた更新も全力で駆け抜けます!




